目次

  1. ローカル10000プロジェクトとは
  2. ローカル10000プロジェクトの2024年度補正予算の変更点
    1. 重点支援項目に「地域の女性や若者の活躍に関連する事業」を追加
    2. 実施期間を最大3年まで拡大
    3. 「やむを得ない事情」について事前着手可能
    4. リースを活用する場合の弾力的運用
  3. ローカル10000プロジェクト、2025年度当初予算案にも6.2億円
  4. ローカル10000プロジェクトの事例
  5. ローカル10000プロジェクト、活用するにはまず自治体へ

 総務省の公式サイトに掲載されている交付要綱などによると、ローカル10000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)とは、産学金官の連携により、地域の人材・資源・資金を活用した新たなビジネスを立ち上げようとする民間事業者の初期投資費用を支援する事業です。

 公費による交付額の上限は原則2500万円ですが、融資額(または出資額)が公費による交付額の1.5倍以上2倍未満の場合は、上限3500万円に引き上げられます。2倍以上の場合は、上限5000万円となります。

 以下の6項目に当てはまる場合は、ローカル10000プロジェクトの支援対象となる可能性があります。

  1. 地域の資源を活用する事業である
  2. 地域金融機関からの融資を検討している
  3. 新規事業の立ち上げである
  4. 地域の新たな雇用創出に期待できる事業である
  5. 地域課題の解決につながる事業である
  6. 新規性・モデル性が感じられる事業である

 ローカル10000プロジェクトは2024年度分の予算を使い切ったため、2024年8月に募集を停止していましたが、政府の2024年度補正予算であらたに21.1億円が計上されたため、12月18日から募集を再開しました。2025年1月24日まで募集しています。

 2024年度の補正予算で、おもに4つの変更点が加えられました。

 元々、重点支援項目は以下の2つがありました

  • 生産性向上に資するデジタル技術の活用に関連する事業(国費3/4へ引き上げ)
  • 脱炭素に資する地域再エネの活用等に関連する事業(国費3/4へ引き上げ)

 ここに「地域の女性や若者の活躍に関連する事業」が加わります。交付率は原則1/2ですが、重点支援項目なので3/4に引き上げられます。

 具体的には以下のような事例を想定しています。

  • 子育て中の女性をターゲットとしたデジタル人材としてのスキルアップと就労斡旋を行う事業
  • 企業向けの仕事と育児の両立コンサルティング事業
  • 起業志向の若者を受け入れて創業をサポートする事業
  • 若者の交流拠点の運営・若者のニーズを踏まえたサービスの提供を行う事業

 これまで交付金事業の実施期間はこれまで1年(単年度)でしたが、交付決定を受けようとする年度を含めて最大2年まで広げます。ただし、交付決定は単年度ごととなります。

 「やむを得ない事情」により交付決定前に事業着手(工事発注など)が必要な場合は、交付決定前着手届を提出することで交付決定前の事業着手が可能となります。

 やむを得ない事情とはたとえば、次のような理由を想定しています。

  • 改修対象の建物について競合他者がいるため、交付決定前に早期に購入しなければ事業が実施できなくなる
  • 導入する機械装置等が海外からの輸入品で納品までに相当の期間を要するため、年度内に完了するためには交付決定前に発注する必要がある

 対象経費の一部をリース資機材で調達する場合、交付金事業者と地域のリース会社が共同申請を行い事業に取り組むときは、そのリース額を地域金融機関からの融資相当額とみなすことになりました。ただし、地域金融機関等の融資等は必須で、全額リースによる調達はできません。

 総務省が公表している2025年度当初予算案でも、ローカル10000プロジェクト等の推進に6.2億円(2024年度当初予算は6億円)が盛り込まれました。

 ローカル10000プロジェクトの推進や「女性・若者活躍」に関する事業の重点支援、地域のネットワークづくりを推進するための中間支援組織と自治体とのマッチングセミナー等を開催すると説明しています。

 ローカル10000プロジェクトは、様々な地域で、様々な形で活用されています。以下にいくつかの具体的な事例を紹介します。

 岩手県久慈市では、ハウス内環境制御と木質バイオマスエネルギーを活用した菌床しいたけ栽培により、地域経済循環の創出に取り組んでいます。山梨県都留市では、織物業の再興とふるさと納税活用を組み合わせたプロジェクトが展開されています。

 このほか、女性活躍・若者活躍の事例として、新潟県長岡市では、「インストラクション」が待機児童問題の解決と未満児を持つ働く女性や働きたい女性の雇用の場を創出するため、「プレスクール事業」と「チューボー事業」を実施しています。

 プレスクール事業では育児と仕事を両立させるためのコンサルティングを行い、チューボー事業では地元食材を活用しつつも食物アレルギー品目を使用しないアレルギー対応食に特化した地産地消惣菜店を整備することで、育児と仕事の両立サポートや企業内保育所設置の経済負担の軽減、雇用の創出を図っています。

 「ローカル10000プロジェクト」を活用したい場合は、まず事業を実施する地域の自治体へ相談する必要があります。総務省の公式サイトに地域別の担当窓口が紹介されています。