目次

  1. 企業版ふるさと納税とは
  2. 企業版ふるさと納税、2027年度まで3年延長へ 改善策も
    1. 寄附活用事業におけるチェック機能の強化
    2. 寄附活用事業の実施状況の透明化
    3. 欠格期間の創設

 企業版ふるさと納税は、正式には「地方創生応援税制」と呼ばれ、内閣総理大臣が認定した地域再生計画に位置付けられた事業に対して企業が寄附をした場合に、損金算入措置に加え、2016年度から2024年度までの間、法人関係税(法人住民税、法人事業税、法人税)の税額控除も認められています。

 2020年度から寄附額の最大約9割が税額控除の対象となっています。

  • 法人住民税:寄附額の4割を税額控除(法人住民税法人税割額の20%が上限)
  • 法人税:法人住民税で4割に達しない場合、その残額を税額控除。ただし、寄附額の1割を限度とする(法人税額の5%が上限)
  • 法人事業税:寄附額の2割を税額控除(法人事業税額の20%が上限)

 企業版ふるさと納税は、税制上のメリットのため、2019年度に33.8億円だった寄附実績が2023年度には470億円にまで増えました。

 また、この制度を活用したことのある地方公共団体数も、2023年度までの累計で1536団体に上ります。

 この企業版ふるさと納税は、政府が閣議決定した2025年度税制改正大綱によると、2027年度まで3年間延長される見通しとなりました。

 ただし、企業版ふるさと納税制度を利用した福島県国見町で、高規格救急車の開発・リースを巡り、寄付した企業のグループ会社が開発を請け負ったことが判明。内閣府は2024年11月、「経済的な見返り」があったとして、国見町の地域再生計画の認定を取り消しました。

 こうした問題を受けて、政府は企業版ふるさと納税の延長にあたり、制度を改善することを明らかにしました。主な改善策は以下の通りです。

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の制度改善策
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の制度改善策

 まず、事業の実施にあたり留意事項のチェックリストが導入します。寄附受領時に寄附活用事業の歳出予算が議決前である場合などは、国に提出する必要があります。

 また、寄附を受領したすべての団体は、実施報告とともに、各会計年度終了後に報告書の提出が義務付けられます。

 契約手続で、寄附法人・関係会社が競争入札を一者応札で受託した場合などには、国への実施報告が義務付けられ、寄附法人名が公表されます。寄附法人が非公表を希望する場合は、地方公共団体で、非公表とする理由の確認をした上で、国へ報告し、国はその理由を公表する必要があります。

 寄附活用事業の発注先についても、地方公共団体が公表することになります。ただし、競争入札・随意契約の場合、ただし少額の場合を除きます。

 2023年度に寄附を受領した全1462地方公共団体について実態調査したところ、寄附活用事業の一者応札等による契約先(再委託先含む)または補助金・負担金等の交付先(交付先からの事業発注先含む)に寄附法人等が含まれていたケースは、全体の約1%あったといいます。

 地域再生計画の認定取消しを受けた場合の再申請には2年間の欠格期間があらたに設けられます。