フィリピン向け日本産いちごの輸出、2024年12月から解禁 農水省

フィリピンへのいちご輸出が2024年12月15日から解禁されたと農林水産省が発表しました。生産施設及び選果こん包施設の登録などの検疫条件をクリアする必要があります。フィリピンへの輸出を検討するうえで手続きについて詳しく知りたい場合は、最寄りの植物防疫所と農林水産省農産局園芸作物課に問い合わせてください。
フィリピンへのいちご輸出が2024年12月15日から解禁されたと農林水産省が発表しました。生産施設及び選果こん包施設の登録などの検疫条件をクリアする必要があります。フィリピンへの輸出を検討するうえで手続きについて詳しく知りたい場合は、最寄りの植物防疫所と農林水産省農産局園芸作物課に問い合わせてください。
目次
フィリピンの2023年のGDP成長率は通年目標を下回るも、前年比5.6%と周辺国と比較しても高い水準となっています。
そんなフィリピンにいちごを輸出するためには、「フィリピン向けにいちごを生産する施設等において必要な食品衛生管理措置について」(PDF)で定める衛生管理を守る必要があります。
自社の生産施設で選果・梱包まで行う場合は、GAP(農業生産工程管理)を取得するか、「農林水産省国際水準GAPガイドライン」に沿った衛生管理を行う必要があります。
GAPとは、農業生産の各工程の実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動であり、詳細は農水省の公式サイトを参照してください。
共同選果施設を利用する場合:選果梱包を行う施設はHACCP(ハサップ)を取得するか、HACCPに沿った衛生管理が必要です。厚生労働省の公式サイトによると、HACCPは、食品等事業者が食品の安全性を確保するための衛生管理の手法です。
フィリピン向けに輸出するいちごに使用した農薬については、別記様式を用いて記録する必要があります。
フィリピンに輸出するいちごは、フィリピン国内の法令で定める残留農薬基準と微生物基準を満たす必要があります。大腸菌とサルモネラ菌に関する基準値は以下の通りです。
残留農薬については、以下の農林水産省「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」とフィリピン当局の「フィリピン国内での使用禁止農薬リスト」で最新の基準値と使用禁止農薬リストを確認してください。
フィリピンへ初めて輸出する前に、別記様式により作成した農薬使用履歴と、いちごの微生物(大腸菌及びサルモネラ菌)検査及びいちごの生産に使用した農薬に係る残留検査の結果をメールで提出してください。
微生物検査と残留農薬検査は、以下のいずれかの機関で実施する必要があります。
検査方法は、フィリピンの国内法令で規定された方法で行う必要があります。また、検査に使用する検体は、輸出する予定のいちごと同一場所で生産されたものを使用してください。収穫前のいちごを検体することもできます。
もし、検査の結果、大腸菌の基準のみを満たしていない場合は、Code of Hygienic Practice for Fresh Fruits and Vegetables(CXC 53-2003)に沿った改善措置を実施する必要があります。
残留農薬基準またはサルモネラ菌の基準を満たしていない場合は、フィリピンへの輸出は認められません。改善措置を実施し、再度検査を行う必要があります。輸出者の半数以上で連続した食品衛生要件の不履行が発生した場合、フィリピン当局は農林水産省に通知し、日本からのいちごの輸入停止となります。
フィリピンにいちごを輸出するためには、検疫に関する条件も満たす必要があります。農水省が公表している「フィリピン向け日本産いちご生果実の輸出検疫条件」(PDF)を参照しながら手続きを進めてください。
まず、いちごを生産する施設(ガラス温室、ビニールハウス等)を植物防疫所に登録する必要があります。都道府県を通じて植物防疫所に申請してください。
選果・こん包を行う施設も、同様に植物防疫所に登録が必要です。選果こん包施設の責任者が都道府県を通じて申請を行います。
オウトウショウジョウバエ、ニセオウトウショウジョウバエなどのショウジョウバエ類は、フィリピンでの検疫対象となっています。そこで、植物防疫官、検査補助員又は登録検査機関は以下の調査を実施します。
まず、トラップ調査として、輸出開始の1ヵ月前から収穫期間終了まで、日本酒と蜂蜜(重量比5:1)またはリンゴ酢などを誘引剤としたトラップを生産施設内に設置します。最低2個は設置が必要で、施設面積0.5haより大きい場合は、0.5ha増えるごとにトラップを1個追加します。トラップは2週間に一度点検し、誘引剤を交換します。
つぎに、生果実調査として、輸出開始の1ヵ月前から収穫期間終了まで、2週間に1度、果実の外観を目視により調査し、必要に応じて切開して調べます。
登録された生産施設では、防除暦に基づいた病害虫防除を行う必要があります。また、輸出開始の1ヵ月前から収穫期間終了まで、1ヵ月に1回、植物防疫官、検査補助員または登録検査機関による栽培地検査を受けなければなりません。
選果と梱包は、登録された選果こん包施設で行う必要があります。こん包は、密閉容器または開口部に網(孔の直径が1.6mm以下)が張られた容器を使用するか、束ねたこん包を網で覆う必要があります。
各こん包には、生産施設と選果こん包施設の登録番号、そして「For the Philippines」の字句を表示してください。
原則として年1回、フィリピン側の検査官が登録された生産施設と選果こん包施設の現地査察を行います。
輸出前には、植物防疫官または登録検査機関による目視検査を受け、検疫対象病害虫の付着がないこと、そして検疫条件を満たしていることを確認する必要があります。
各こん包は、「PLANT QUARANTINE JAPAN」または「植物検疫 PLANT QUARANTINE」の字句が表示されたラベルやテープで封印します。
以上より、輸出の大まかな流れは次の通りです。
フィリピン側の規則は変更される可能性があります。常に最新の情報を確認するように心がけてください。
植物検疫条件の問い合わせは、最寄りの植物防疫所へ。残留農薬検査及び微生物検査の問い合わせは、農林水産省農産局園芸作物課へ。
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