中小機構が「価格転嫁検討ツール」 損益計算書があれば作れる簡易版
簡単に価格転嫁の必要性を目で見て確認することができる「価格転嫁検討ツール」について、中小企業基盤整備機構が2024年12月に無料で公表しました。精緻な価格交渉には向かないものの、損益計算書の項目と、主力製品の売上比率が分かれば、まずは価格交渉の必要性を見える化できます。中小機構の担当者は「価格交渉の必要性を感じたら、よろず支援拠点など無料の相談所などに足を運んでほしい」と話しています。実際に使いながら紹介します。
簡単に価格転嫁の必要性を目で見て確認することができる「価格転嫁検討ツール」について、中小企業基盤整備機構が2024年12月に無料で公表しました。精緻な価格交渉には向かないものの、損益計算書の項目と、主力製品の売上比率が分かれば、まずは価格交渉の必要性を見える化できます。中小機構の担当者は「価格交渉の必要性を感じたら、よろず支援拠点など無料の相談所などに足を運んでほしい」と話しています。実際に使いながら紹介します。
価格転嫁検討ツールとは、コスト増加分を取引価格に反映させたい事業者を対象に、Webから登録不要、利用料無料でアクセスできるツールです。
中小機構の経営支援企画課によれば、簡単にいうと、商品別の仕入れ・材料費など細かい数字を正確に把握していない事業者でも価格転嫁の必要性や交渉を検討すべきポイントが大まかに分かるツールです。
以下の3つの機能があります。
価格転嫁検討ツールを実際に使いながら説明します。
会社全体の売上のおよそ半分を占める「ツギノジダイ」という商品があると仮定し、売上高が2021年も2024年も3000万円だったとします。
一方、材料費や人件費、光熱水道費は上がっており、その影響を調べるために入力を始めました。
コスト高騰前の2021年度とコスト高騰後の2024年度の売上高や売上原価などの項目を決算書のうち、損益計算書(PL)を見ながら埋めていきます。
主力商品が全体の売上高のうち、いくらを占めているかを入力し[比率を反映]を押します。
すべて入力を終えると「コスト比較表」が出力されます。今回の仮入力した数字では、売上高は2021年度も2024年度も同じなのに、総コストが1988万9319円から2578万3947円へと増え、利益率を大幅に圧迫している様子が分かります。
さいごに参考価格が出力されます。参考価格とは、コスト高騰前の「個別の商品または取引先」の「売上高」と「各コスト」の関係に着目して算出した価格です。
現在の価格と参考価格の「差額」がマイナスになっている場合は、価格転嫁の検討を勧めています。
価格転嫁検討ツールを開発した理由について、中小機構の経営支援企画課の担当者は「これまでの価格転嫁に関する中小企業庁の調査で、小規模な事業者ほど個別の製品の原材料価格などの情報を集めるのが難しく、価格交渉になかなか進めないという課題がありました。そこで、損益計算書をもとに大まかな傾向をつかむことで、現状を知り、まずは経営相談に行ってみようというきっかけになればと考えています」と話しています。
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