トランプ関税、メキシコ進出企業の影響は? USMCAの関税優遇は不透明
杉本崇
(最終更新:)
メキシコに進出している日本企業の特徴(画像は帝国データバンクのプレスリリースから https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001046.000043465.html)
アメリカのトランプ米大統領が2025年4月2日発表した大統領令では、すべての輸入品に一律10%を掛けるとする関税からメキシコとカナダを除外しました。帝国データバンクによると、メキシコに進出している日本企業は2025年746社あり、そのうち自動車産業が65.3%を占めるといいます。特にトヨタ向けのサプライヤーが多く、進出企業全体の約40%が現地で工場・製造拠点を持っています。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)によりやや軽減されていますが、この優遇措置もいつまで続くか見通せない状況となっています。
メキシコへのトランプ関税、一律10%から除外
アメリカのトランプ米大統領が2025年4月2日発表した大統領令によると、カナダ・メキシコには以前に発表した関税は維持されることとなりました。
また、ホワイトハウスの公式サイトに掲載されたファクトシートによれば、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠したメキシコとカナダからの輸入品は、別の関税措置の対象である自動車と鉄鋼・アルミニウムを除き、引き続き関税がほぼゼロになるといいます。トランプ大統領は元々、メキシコとカナダが移民や合成麻薬フェンタニルの流入への対策が不十分だとして25%の関税を課しましたが、USMCAに準拠した製品は適用除外としました。
ホワイトハウスのファクトシートは、カナダとメキシコについては、既存のフェンタニル・移民に関する大統領令が引き続き有効で、(すべての輸入品に10%の関税を課す)大統領令の影響は受けないとしつつ、「既存のフェンタニル・移民に関する大統領令が打ち切られた場合、USMCAに準拠した製品は引き続き優遇措置を受け、準拠していない製品は12%の相互関税の対象になる」と説明しています。
自動車と関連部品へのトランプ関税対応
1962年通商拡大法232条にもとづいて、完成車は4月3日から関税が25%となります。ただし、USMCAの原産地規則(ROO)を満たす自動車は、アメリカ製部品・原材料の価格を除いた車両価格に25%がかかります。
自動車部品については、5月3日から関税が25%となりますが、USMCAの原産地規則を満たす自動車部品は、4月3日時点では適用対象外となっています。
メキシコ進出企業は746社 自動車関連が65%
帝国データバンクは、自社データベースなどをもとに、メキシコに進出している日本企業を分析しました。
2025年3月調査時点でメキシコに進出している日本企業は746社に上り、そのうち自動車産業に属する企業が65.3%(487社)を占めました。
特に、メキシコ国内で北米向けの完成車を製造する日系自動車メーカー4社(トヨタ・ホンダ・日産・マツダ)向けのサプライヤーが多いという特徴がありました。自動車メーカー別(重複あり)にみると、トヨタ向けに部品を供給するサプライヤーが404社判明し、4社の中で最も多く、進出企業全体の50%超を占めています。
メキシコへの進出形態では、746社のうち308社(41.3%)が現地での「工場・製造拠点」として進出していました。
自動車部品に対する232条関税の行方に注目
日本貿易振興機構(JETRO)の公式サイトによると、自動車や関連部品への関税は、メキシコとカナダの産品は他国と比べると、USMCAの恩恵で相対的に影響が小さくなっているといいます。
そのうえで「メキシコ進出日系企業への影響が大きいのは、232条に基づく自動車・自動車部品への追加関税だ。完成車については、米国での付加価値を除いた価格に課税されるため、関税負担が幾分か軽減される見通しだ。自動車部品については、USMCAのROOを満たしていれば、現時点で課税されないが、この優遇がいつまで続くかは不透明だ」と分析しています。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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