目次

  1. ガストロノミーツーリズムとは
  2. 「食」の力を最大活用したガストロノミーツーリズム推進事業
  3. 応募申請の概要
  4. 募集する事業内容
  5. 応募申請書の記載のポイント
  6. 対象経費
  7. 事業実施者の審査項目
  8. 公募要領・問い合わせ先

 観光庁の公式サイトによると、SDGsへの関心の高まりに呼応して、ビーガン·食品ロス等、食の分野でのSDGsに注目が集まるなか、世界観光機関(UNWTO)もガストロノミーツーリズムのガイドラインを出しています。

 ガイドラインのポイントは以下の通りです。

  1. 透明性があり、参加型で、リーダーシップを促進するガバナンス(統治)モデルを推進する
  2. 地域のガストロノミーを文化遺産として認識する
  3. 観光客を受け入れるシナリオ、環境、場所及び体制を改善する
  4. 地域に内在するガストロノミーに関する商品・体験を、創造・開発する
  5. 関係者全員の知識、能力開発、革新、連携に基づき、バリューチェーンにおける競争力を強化する
  6. ガストロノミーに関心を有する観光客の特徴を把握するため、データ収集の仕組みを開発し、地域の状況を分析する
  7. 地域のガストロノミーについて、ブランドとして信頼できる本物のストーリーを展開する(食のブランド化)
  8. 関係者全員が参加し、ガストロノミーツーリズムの市場開拓を推進・支援する計画を策定する(食のマーケティング)
  9. ガストロノミーツーリズム発展の原動力として、テクノロジーを最大限に活用する
  10. 地域における持続可能性やSDGsへの貢献に向けた取組を進めるための手法としてガストロノミーツーリズムを推進する

 日本でも、食をフックとした観光振興に取り組みたい地域が多い一方、地域の歴史・文化・自然環境等と関連付けた本質的な体験としての昇華や、関連産業と一体となった体制構築を通じて地域経済への経済波及効果を生み出している事例はまだ少ないのが現状です。

 そこで、観光庁は、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、農業・漁業・飲食業・宿泊業等の様々な関係団体等が連携し、地域の食資源(農作物、水産物、畜産物、酒、加工品・調味料等)を中心に、地域独自の歴史・文化・自然環境といった地域資源を主な対象として、ガストロノミーツーリズムに取り組むことを支援します。

 この事業は、補助金や交付金のようなものではなく、観光庁における調査事業の一環で、国がこの調査に要する経費を国費により負担します。

 事業の実施では、必要に応じて専門家による事業内容等の伴走支援(改善指導等)など、専門家との併走により事業が進められます。このため、選定過程及び選定後において、申請内容(提案内容)が変更される場合があることに留意が必要です。

 事業実施者の対象となる申請者は、次の条件を全て満たす必要があります。

  • 原則として、地方公共団体、民間事業者等が連携する組織や団体、協議会等であり、「募集する事業内容」に示す取り組みが可能であること。単独の主体が申請する場合は、他の主体との連携体制が明確であること。
  • 申請者は、観光事業者(DMO、旅行代理店、宿泊施設、交通事業者等)、農林水産事業者(漁協、農協、加工流通事業者等)、地方公共団体(基礎自治体は必須)等が必ず含まれた3団体以上で構成されていること。
  • 申請に当たっては、代表となる主体を申請団体とし、代表となる主体が複数の申請を行うことは認められません。
  • 体制に、暴力団又は暴力団員の統制の下にある団体が含まれていないこと。

 募集する事業は、地域の魅力発信に資する地域の食資源(農作物、水産物、畜産物、酒、加工品・調味料等)を中心に、地域独自の歴史・文化・自然環境等の地域資源を主な対象として実施されます。以下のすべての条件を満たす必要があります。

  • 実証事業は、申請団体が、飲食店、宿泊事業者、交通事業者、漁協、農協、地場産業等の地域に根ざした様々な関係者と連携をする計画であること。
  • 地域ならではの気候風土が生んだ食を楽しみ、その背景にある習慣・伝統・歴史・文化に触れることを目的としたガストロノミーツーリズムに関する取り組みを対象とすること。
  • 申請計画地域の食資源(主に食文化)を中心とした計画であること。
  • 「食」の力を最大活用したガストロノミーツーリズムの考え方: 地域における食資源を中心に、その土地ならではの歴史・文化・自然環境等の地域資源の魅力を旅行者へ提供する仕組みの構築を図る。
  • 伴走支援: 専門家が事業実施者に対し改善指導やサポート等を行い、事業で構築されたスキームを実証事業終了後も継続的に活用・展開し、自ら地域の観光需要の創出を目指すことを前提とする。
  • 申請対象外となるケース: 数日間のイベント、無料のモニターツアーのみの実施、単なる広報素材のみの作成等、事業の持続性や他地域への横展開への寄与度が低いと考えられる取り組みは対象外。
  • 申請前の各種調整等: 連携体制の構築・調整、文化資源等の所有者・管理者等への事前相談と同意、必要な許認可の取得または事前調整を必ず行うこと。

 支援対象経費の上限は、1事業あたり税込み2000万円です。

 この事業は補助金や交付金ではなく、国費により負担する調査事業であるため、対象となる経費は、申請条件と募集する実証事業等の要件を満たす事業活動を実施するために必要な経費であって、適切かつ効率的に計上されているものに限ります。

 事業実施者の選定は、専門家により構成される選定委員会において行われ、6月下旬頃に採択事業が公表される予定です。選定は、形式審査と内容審査です。
形式審査では、申請主体、申請活動、付随する業務が要件を満たしているかが確認されます。

 内容審査では、以下の項目について審査が行われます。

  • 地域の独自性・現状分析: 地域ならではの食材・習慣・伝統・歴史・文化が含まれているか、地域の現状・課題が適切に把握され対応策が想定されているか、マーケティング分析が有効か。
  • ストーリー性: 地域の食を軸とした魅力的かつ目的を持ったストーリー戦略ができているか。
  • 新規性・ユニーク性: 内容がユニークで面白みのある取組、または斬新で魅力的な取組となっているか。
  • 地域の一体性: 生産者や地域事業者など巻き込んで地域が一体となり、地域全体の活性化に寄与するか、事業内容と地域の観光計画等が整合するものであるか。
  • インバウンド対応: ターゲットの趣向を踏まえたコンテンツ・メニュー開発(多言語対応含む)になっているか、持続可能な観光を意識しているか。
  • 取組の有効性: 付加価値が高く、旅行者一人あたりの観光消費額及び地域の収益増加が見込まれる内容か、実証事業期間内の実現可能な計画となっているか、他地域への横展開に寄与することが期待できるか、国費による実証事業と地域が実施する取組との相乗効果が大きいか。
  • 取組の将来性: 実証事業終了後の中長期的な継続性が見込まれるか、事業の根幹を担う部分が事業実施地域を活動拠点とする者によって行われる体制となっているか。

 事業に関する質問は、電子メールでのみ受け付けられます。公募要領や問い合わせ先は観光庁の公式サイトへ。