目次

  1. 2025年の値上げ、前年実績上回る
  2. 飲食料品の値上げ要因
  3. 2025年は約2万品目を予想 2022年水準にも

 飲食料品の値上げについては、各社の発表に基づき、帝国データバンクが分析しています(年間で複数回値上げを行った品目は別品目としてカウント、値上げ率は発表時点の最大値を採用し、価格据え置きや内容量減による実質価格上昇も含む)。

 2025年5月以降の食品の価格上昇とその展望について調べたところ、2025年5月の飲食料品の価格上昇は、計478品目に及んだといいます。特に加工食品の分野が中心で、ハムやソーセージなどの食肉加工食品が137品目と最も多い結果となりました。

食品分野別の値上げ品目数
食品分野別の値上げ品目数

 2025年の累計品目数は1万4409品目で、前年実績を超え、飲食料品の価格上昇の勢いは前年よりも強い状態が続いています。

 2025年の価格上昇は前年を上回り、その要因としては原材料の価格高騰、人手不足、流通コストの上昇、そして光熱費の上昇が挙げられています。特に原材料の価格高騰は全体の97.9%を占め、人手不足に伴う賃上げによるコスト増は52.0%を占めました。

値上げ要因の推移
値上げ要因の推移

 帝国データバンクによると、過去の円安による輸入コストの増加や、直近では海苔やチョコレートに代表される、国内外での天候不順による各種原材料高の影響も根強く残っています。近時は電気・ガスなどエネルギーコスト増による値上げで再燃の兆しもみられるなど、値上げ要因は多様化・複合化が一層進んでいます。

 足元では1ドル140円前後の水準まで円高が進み、2022年以降の値上げで主な要因となった小麦粉で値下げの動きもあるものの、プラ容器など包装資材を含めた「モノ由来」「サービス由来」双方の値上げ圧力が強く、今夏以降も価格改定による採算改善を目指す動きが各社で続くとみられます。

2023年からの飲食料品の値上げ動向
2023年からの飲食料品の値上げ動向

 2025年は人件費や物流費などのコスト増を受けた価格転嫁の動きが続き、粘着性の高いインフレ圧力として飲食料品の値上げに強い影響を及ぼしています。

 そのため、帝国データバンクは、2025年の価格上昇は年間最大2万品目に及ぶ可能性があると予想しています。これは、飲食料品の価格上昇が本格化した2022年の水準と並ぶ可能性があります。