デジタル式運行記録計とは 国交省が導入支援の補助金 5月から申請受付
杉本崇
(最終更新:)
国土交通大臣が選定したデジタル式運行記録計またはデジタル式運行記録計・映像記録型ドライブレコーダーの一体型の一覧(国交省の公式サイトから https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/subcontents/jikoboushi.html)
国土交通省の事業を受け、運行管理機器の導入費用の一部を補助する「運行管理の高度化に対する支援」の公募が2025年5月8日に始まりました。デジタル式運行記録計(デジタコ)や、デジタル式運行記録計と映像記録型ドライブレコーダーが一体となった機器(一体型)の導入にかかる経費を補助金で支援します。これまでの制度と比べて、中小規模のトラック運送事業者のデジタコ未装着者を優先するなどの制度改正がなされているので申請時には公募要領を確認してください。
デジタル式運行記録計とは
国交省の特設サイトによると、デジタル式運行記録計とは、運行記録計の一種で車両の運行にかかる速度・時間等を自動的にメモリーカード等に記録する装置です。
事務所の読み取り装置でメモリーカード等を解析することでドライバーが法定速度、休憩時間などを遵守しているかを容易に確認でき、事故防止等の安全管理に用いることができます。
運行記録計には、運行データをメモリーカード等に記録するデジタル式と、記録紙(チャート紙)に針で軌跡をつけて記録するアナログ式があり、デジタル式の方が記録紙を目視で読み取るアナログ式に比べて解析作業が素早く、正確に処理することができるといいます。
最大積載量が4t以上の車両のデジタコの普及率は約80%で、規模が小さい(保有車両数が少ない)事業者ほど、デジタコの装着率が大幅に低い傾向にあることがわかっています。
政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」で「トラック事業者の運行管理の高度化により輸送の安全確保を図るため、デジタル式運行記録計(デジタコ)について、将来的な義務づけも視野に入れつつ強力な普及促進を図る」と明記されました。
補助対象となる事業者
国土交通省は、2024年度補正予算で「デジタル式運行記録計の導入支援」をするとし、補助金の申請受付を始めました。今回からより小規模な事業者が導入しやすい制度となっています。
補助金の交付を申請できるのは、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業を経営する事業者で、保有車両台数が10両未満であり、かつ、デジタル式運行記録計またはデジタル式運行記録計・映像記録型ドライブレコーダーの一体型を導入していない自動車を事業の用に用いている者となります。
なお、上記の運送事業者にデジタコまたは一体型を貸し渡すリース事業者も補助金の申請が可能です。リース期間は原則として5年以上とし、補助金がリース料金に反映されているなどいくつか制約条件があることに注意が必要です。
補助対象となる機器
補助金の対象となる機器は、国土交通大臣が選定したデジタル式運行記録計またはデジタル式運行記録計・映像記録型ドライブレコーダーの一体型であり、「令和6年度補正予算 運行管理の高度化認定機器一覧」に掲載されているものに限られます。
補助金額
補助金の額は、機器取得に要する経費の1/2となります。ただし、機器の種類ごとに上限額が定められています。
• デジタル式運行記録計に係る車載器:1台あたり3万円
• デジタル式運行記録計に係る事務所用機器:1台あたり10万円
• 一体型に係る車載器:1台あたり4万円
• 一体型に係る事務所用機器:1台あたり13万円
• 通信機能付き一体型に係る車載器(1ヶ月以上の通信費含む場合):1台あたり 10万円
• 通信機能付き一体型に係る事務所用機器:1台あたり 13万円
また、補助対象事業者あたりの上限額も設定されています。
• 上限:80万円
• 通信機能付き一体型を含む場合は、上限:120万円
※100円未満の端数は切り捨てとなります。
申請方法と受付期間
補助金は、「令和6年度補正予算被害者保護増進等事業費補助金事務局」の公式サイトにある申請システムから申請してください。申請は申し込み順に審査が行われます。
受付期間は、2025年5月8日(木)から7月31日(木)17時までです。 ただし、予算額を超過する見込みとなった場合は、受付期間中であっても受付を締め切ることがあります。申請システムで受付完了となっても、予算超過により不受理となる場合があるため注意が必要です。
補助金優先採択について
補助金では、申請多数により予算額を超過した場合に、2025年度(または2025年)に給与総額を対前年度(または対前年)比で1.5%以上増額させる旨を従業員に表明している申請者などが優先的に採択されます。優先採択を希望する場合は、申請時に「従業員への賃金引上げ計画の表明書」の提出が必要です。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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