目次

  1. 日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)とは
  2. 持続可能な観光計画の策定支援事業の対象
  3. 応募できる対象者
  4. 応募するための主な要件
  5. 補助対象となる経費とならない経費
  6. 補助率と補助上限額
  7. 公募期間と応募手続き
  8. 事業のスキームと手続きの流れ

 観光庁の公式サイトによると、日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)とは、持続可能な観光の推進に資するべく、各地方自治体や観光地域づくり法人(DMO)等が多面的な現状把握の結果に基づき、持続可能な観光地マネジメントを行うための観光指標のことを指します。

 「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを実現するため、観光客と地域住民双方に配慮し、多面的かつ客観的なデータ計測と中長期的な計画に基づく総合的な観光地マネジメントを目的にしています。

 観光庁の公式サイトに掲載されている応募要領によると、補助事業の対象となるのは、主に地域の持続可能な観光計画の策定に関する以下の活動です。

• 観光計画策定のための関係者との調整や有識者招聘、コンサルティング等
• 現状把握のための調査分析や地域におけるワークショップの実施
• 地域住民や関係者向け説明会・周知やJSTS-D勉強会の実施
• 観光計画の策定に付随する事業

 ただし、「現状把握のための調査分析」以降の活動のみを対象とした事業は、補助金の交付対象外となります。。

 応募できる「補助対象事業者」は以下の通りです。

• 地方公共団体
• 観光地域づくり法人(DMO)
• 観光協会
• 地方公共団体を構成員に含む協議会等

 特に、日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)ロゴマークを取得していない事業者を対象とし、これまで本事業で採択されたことが無い事業者が優先的に採択されます。これは、まだJSTS-Dへの取り組みをこれから本格化する地域や事業者を後押しするための措置と考えられます。

 補助金の交付を受けるためには、観光計画に、JSTS-Dの「A1 デスティネーション・マネジメント(観光地経営)戦略と実行計画」に記載されている以下の項目を盛り込む必要があります。

① 「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」に取り組むことを明記していること(JSTS-D で定める A マネジメント B社会経済 C文化 D環境の各分野又は指標に合致する取組や方針が記載されていること)
② 複数年の計画であること
③ 定期的な見直し(少なくとも5年ごと)及び一般公表をすること
④ ステークホルダー(地域住民を含む)の参加によって策定すること
⑤ 関連する取組の結果を公表すること

 申請を行う担当者は、観光庁の公式サイトに掲載されている「持続可能な観光地づくりに向けた研修動画」をすべて受講し、その後の確認テストに合格する必要があります。

 このほか、2025年12月末までにJSTS-Dロゴマークを取得することが要件となります。採択されるためには、計画策定と並行してロゴマーク取得に向けた準備を進める必要があります。

 補助対象となる経費には以下の3つの条件全てを満たす必要があります。

• 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
• 補助金交付決定後に、契約・発注により発生した経費
• 証拠書類・見積書等によって契約・支払金額が確認できる経費

 一方、主な補助対象外経費としては、補助対象事業者職員の人件費や旅費等、説明会参加者の旅費など参加者にかかる費用等が挙げられています。

 また、同一の事業計画で国の他の補助金・助成金の交付を受けている、または受けることが決まっている場合も補助対象外となりますが、国費を財源としない都道府県等からの補助金等との併用は可能です。

 気になる補助金額についてですが、補助率は補助対象経費の2分の1です。そして、補助上限額は500万円と定められています。

 たとえば、補助対象経費が1000万円の場合、補助率は1/2で500万円となり、上限額に達するため補助額は500万円となります。補助対象経費が1200万円の場合も、補助率は1/2ですが上限が500万円のため、補助額は500万円です。

 事業の公募期間は、2025年4月24日(木)から6月2日(月)17時までとなっています。応募を検討されている場合は、この期間内に手続きを行う必要があります。

 応募書類の提出先は、各地域の地方運輸局等です。提出にあたっては、事前に必ず提出先となる地方運輸局等に連絡を入れるように指示されています。

 事業は、補助対象事業者、地方運輸局等、観光庁の間で進められます。おおまかな手続きの流れは以下のようになります。

1. 事業計画書提出(補助対象事業者→観光庁)
2. 審査結果の通知(観光庁→補助対象事業者)
3. 交付申請書提出(補助対象事業者→観光庁)
4. 交付決定通知書(観光庁→補助対象事業者)
5. 事業実施
6. 完了実績報告提出(補助対象事業者→観光庁)
7. 補助金の額の確定通知書(観光庁→補助対象事業者)
8. 支払(観光庁→補助対象事業者)

 審査結果は原則として6月末を目処に通知される予定です。国土交通省から地方運輸局等を通じて通知されます。

 審査に通過した場合、その後、補助金交付申請書の提出など、補助金の交付に必要な手続きを行います。提出された交付申請書の内容を精査した上で、交付決定通知書により正式に補助金の交付が決定・通知されます。この交付決定通知書に記載される補助金交付決定額は、応募時の補助金交付申請額より減額される場合がありますので留意が必要です。