目次

  1. 食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業とは
  2. 交付対象経費と支援内容
    1. 施設等整備事業
    2. 効果促進事業
  3. 公布率
  4. 採択基準と配分基準
  5. 申請から交付決定までの流れと今後のスケジュール

 食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業とは、農林水産物・食品の輸出拡大を図るため、輸出向けHACCP等の認定・認証の取得による輸出先国の規制等への対応(交付率2分の1以内)に必要となる施設や機器の整備を支援する事業です。

 食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業には、2024年度補正予算による「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備緊急対策事業」と、2025年度当初予算による「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業」の二つの枠があります。

 今回の追加募集額は、2024年度補正事業で約10.5億円、2025年度当初事業で約0.5億円と発表されています。

 事業実施主体は、法人格を有する食品製造事業者、食品流通事業者、中間加工事業者等、または都道府県が適当と認める者です。

 事業者の支援の対象となる経費は大きく分けて二つです。

 輸出向けHACCP等の認定・認証取得に必要な施設の整備(新設・増築、改築、修繕を含む)や機器の導入に係る経費です。特に、施設の新設・増築は、輸入条件対応やHACCP認証取得に必要な「掛かり増し分」が対象となります。具体例として、排水溝・床・壁の改修による衛生管理強化、エアーシャワー・殺菌機等の導入、温度管理設備の導入などが挙げられます。

 上記の施設・機器整備と一体的に行い、その効果を高めるために必要なコンサルティング等に係る経費などが対象です。これには、HACCP等の認定・認証取得費用、検疫・添加物規制対応、HACCP等導入後の適切な管理・運用を行うための人材育成費用などが含まれ、施設等整備事業の交付対象事業費の20%以内と定められています。

 交付率は、施設等整備事業と効果促進事業ともに1/2以内です。 交付金の上限額・下限額は以下の通りです。

• 2024年度補正事業: 上限5億円、下限250万円
• 2025年度当初事業: 上限約0.5億円、下限なし

 事業の目標年度は、事業実施後5年以内とし、成果目標として目標年度における輸出の増加額を2千万円以上増加させることが求められています。原則、交付決定前の事業着手は認められていませんので注意してください。

 採択には複数の基準が設けられています。主な採択基準は以下の通りです。

• 輸出先となるターゲット国が決定しており、当該国に対する輸出品目について市場・規制分析が行われていること。
• 費用対効果分析により算出される投資効率が2.0以上であること。
• GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)に登録していること。
• 交付対象事業費に充てるため、金融機関等から事業全体の10%以上の貸付けを受けて事業を実施すること。
• 事業実施主体においてHACCPチームが編成され、メンバーにHACCP研修受講者が含まれること。
• 直近3年間の経常損益が連続赤字でないこと、債務超過でないこと。
• 輸出事業計画を作成し、農林水産大臣の認定を受ける、または確実に受ける見込みであること。

 採択された事業は、事業実施計画書の内容に基づき、配分基準に沿って採点され、高得点者から順に配分が行われます。

 主な評価項目には、直近3年の輸出実績、取得済みの輸出向けHACCP等認定の有無、輸出目標額、輸出向けHACCP等認定の取得予定の有無、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」における重点品目であるか、品質・衛生管理専門家の活用状況、都道府県ポイント(地域の振興作物・産品等)、大規模輸出産地関連プロジェクトへの参画、施設の新設・増築を伴うか、ALPS処理水放出や2025年の米国関税措置の影響を受ける品目であるかなどが含まれます。

 事業者は都道府県に相談の、輸出事業計画(案)と事業実施計画書(案)を提出します。都道府県はこれらの内容を確認し、地方農政局等へ提出、さらに農林水産で配分対象事業者が決まります。

 今後のスケジュールとして、2025年6月23日(月)に募集が始まりました。締切は各都道府県で異なります。都道府県から地方農政局等への提出期限は8月4日(月)で、8月19日までに地方農政局等から農水省へ提出し、10月中旬に割り当てが決まる見込みです。

 最終的な事業実施計画の提出と交付決定は、11月中旬までに実施予定です。