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 ものづくり補助金は、中小企業が経営革新のための設備投資等に使える補助金です。いくつかの申請類型がありますが、多くの企業が対象になる「一般型(特別枠を含む)」の補助金額は最大1000万円で、補助率は2分の1です。小規模事業者の場合は補助率が3分の2、特別枠の場合は補助率が3分の2または4分の3になります。ものづくり補助事業公式サイト や中小機構・生産性革命推進事業ポータルサイト も合わせてご確認ください。

中小機構・生産性革命推進事業ポータルサイトから引用
中小機構・生産性革命推進事業ポータルサイトから引用

 中小企業・小規模事業者は、制度変更による負担が大きくなっています。働き方改革の推進などを行うには、技術革新や生産性の改善などで、利益をこれまでより多く確保しなければなりません。

 ものづくり補助金の主な目的は、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援することです。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、対策のために投資を行う事業者に対して、通常枠とは別に、補助率を引き上げ、営業経費を補助対象とした「特別枠」が設けられています。

 令和元年度(2019年度)補正予算の公募要領に従って説明します。補助対象者は、国内に本社および補助事業の実施場所がある中小企業者です。一定要件を満たしたNPO法人も対象になります。

 業種によって資本金と従業員の要件がなど定められています。例えば、製造業は資本金3億円以下、常勤従業員数300人以下のどちらかを満たしていれば対象になります。公募は合計で5回実施され、令和2年度(2020年度)は3月を初回の締切とし、それ以降は5月、8月、11月、令和3年(2021年)2月にそれぞれ締切を設ける予定です。

 特別枠の要件を満たす場合は、特別枠で不採択となっても、加点されて通常枠で再審査されます。条件を満たす場合は、特別枠で申請したほうがよいでしょう。補助対象事業の主な要件は以下の通りです。

・交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月後の日まで)の補助事業実施期間に、発注・納入・検収・支払など、すべての事業手続きが完了する事業であること。

・以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。

  1. 事業計画期間に、原則として給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
  2. 事業計画期間に、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
  3. 事業計画期間に、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる

・付加価値額は、営業利益、人件費、減価償却費を足して算出します。給与支給総額は、非常勤を含む全従業員と役員に支払った給料、賃金、賞与、役員報酬などを指し、福利厚生費、法定福利費、退職金は含みません。

・設備の購入など、事業開始は交付決定以後となります。また、事業計画には数値を盛り込み、従業員に対してあらかじめ開示する必要があります。補助金を受けて事業の利益性を向上させ、従業員に還元することを、数値目標とともに設定します。

・事業計画の策定にあたり、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」が公表されています。参考にしながら計画を作成するとよいでしょう。

上記を満たしたうえで、特別枠については、補助対象経費の6分の1以上が、以下の要件に合致する投資であることが求められます。

ものづくり補助金の特別枠の概要
ものづくり補助金の特別枠の概要

A:サプライチェーンの毀損への対応
調達困難になった部品を内製化するなど、製品供給継続のために必要な設備投資や製品開発を行うこと
B:非対面型ビジネスモデルへの転換
店舗販売からEC販売へシフトするなど、非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
C:テレワーク環境の整備
WEB会議システムを導入するなど、テレワークを実践できる環境を整備すること

また、公募要領に記載された審査項目の概要は以下の通りです。

(1)補助対象事業としての適格性

補助対象事業の要件を満たすか。3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組みであるか。

(2)技術面

  • 新製品・新サービスの革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか。
  • ② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
  • 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
    ・ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

(3)事業化面

  • 補助事業実施のための体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
  • 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。
  • 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
  • 補助事業として費用対効果が高いか。

(4)政策面

  • 地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を力強く牽引する事業を積極的に展開することが期待できるか。
  • ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
  • バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発等、環境に配慮した持続可能な事業計画となっているか。
  • 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。[特別枠のみ]

(5)加点項目

  • 成長性加点:有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者
  • 政策加点:「小規模事業者」又は「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
  • 災害等加点:一定の災害で被災した事業者、有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者

 審査項目を確認すると、技術面で「革新性」という言葉が使われています。現状の経営課題を解決でき、収益性を高める取り組みが求められます。また、技術面や事業面で計画の実現性に関する内容が多く言及されています。計画内容だけでなく、実現可能性があるかどうかも審査に影響します。

 経営革新計画の承認、事業継続力強化計画の認定を受けると、加点対象になります。両計画は別記事で解説しますので、参考にしてください。

 補助対象となる経費は、補助事業の対象として明確に区分でき、経費の必要性と金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できることが求められます。対象経費は、原則として、交付決定を受けた日付以降に発注を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了する必要があります。

 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、原材料費など、幅広い項目が該当しますので、詳しくは公募要領を確認してください。例示した項目の具体的な内容は以下の通りです。これ以外にも多数の項目があります。

機械装置・システム構築費
補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費
補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費

技術導入費
事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

専門家経費
事業遂行のために依頼した弁護士、弁理士、公認会計士など、専門家に支払われる経費

原材料費
試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費

 ものづくり補助金は補助額が大きく、新たな挑戦を目指す中小企業には強い味方になります。応募書類において革新性ある事業計画を立案し、実現可能性を担保しなければならないため、難易度は低くないでしょう。申請にあたっては、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となります。未取得の方はお早めに利用登録を行ってください。

 令和元年度補正ものづくり補助金(一般型)の一次締め切り分については、全国で2,287件の申請があり、1,429件が採択されました。採択率は約62%となっています。
 税理士や公認会計士が登録している認定経営革新等支援機関の支援は必須ではありませんが、支援を受けることもできますので、相談してもよいでしょう。