看護師からの転身「やってみたら」と言う人はゼロ

――お父さんが急逝され、お母さんの名前になっていた町工場を「継ごう」と決めたのはなぜだったのでしょうか?

 父には「工場は危ないから見せちゃだめ」と過保護に育てられたので、実家が何をしているのか全く分からないまま大人になりました。

 16歳で家を出て、看護師の資格を取って働いていたのですが、会社はずっとあるものだと思っていたんです。

 父が2009年に心臓発作で亡くなり、会社の名義は母に変わりました。残って頑張ってくれている社員たちの定年までは、母は「やめる」とは言い出せなかったみたいでした。

 8年前、職人さんも定年を迎えるし、母から「会社を閉じる」と言われたとき、「なくなるのは寂しい」と思いました。父には何もしてあげられなかった。「最後の親孝行」と考えて、継ぐことを決めたんです。

田中さんにオンラインでインタビューに答えてもらいました
田中さんにオンラインでインタビューに答えてもらいました

――看護師の仕事から、製造業の町工場へ。迷いはなかったのでしょうか?

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