利益率を向上させる「組織プレー」

 「2020年7月の決算では増収増益でした。新型コロナウイルスの影響でこの4月、5月は営業活動ができませんでしたが、6月以降に社員達の努力で取り戻してくれました」。長崎市の「福徳不動産」の福島卓社長は、直近の業績をこう振り返ります。

 福島さんが社長を継いだとき、不動産事業の利益率は2パーセント台でした。そこから5年で5パーセントを達成するまでになりました。利益率が向上した理由は、福島さんの徹底した業務効率化にあります。まずは個人プレーだった営業について、部門を横断しての組織プレーに変えるところから着手。採用の方法を改革し、社内で人材を育てていく方針を立てました。

 「先代の社長(現会長)の時代は、ほぼ先代ひとりで営業をやっていたようなものなんです。福徳不動産の売り上げの柱のひとつに賃貸マンション建設のコンサルティングがあるのですが、この手法を編み出したのが先代ということもあり、他にできる人がいなかったし、育てることもしてこなかったんです」

働き方の方針は「好きこそものの上手なれ」

 以前は社内の風通しも悪く、部署ごとの連携もほとんどなく、離職率も高かったといいます。そこで、面接や社内見学を通して一人ひとりとじっくり話し、やりたいことと得意なことを確認。「利益を重視する」という福島さんの考え方に共感し、自分なりのビジョンを持つことのできる人だけを採用するということを粘り強く続けていきました。

 「私が採用にかかわった人が社内の4割を占めるようになったころ、会社の雰囲気が変わってきました。目的意識をもって仕事をする社員が増えてきたんです。リストラをしたわけでもなく自然に新陳代謝が起こり、今では、先代の頃からいた社員は全体の1割ほどしか残っていません」

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