展示会のアルバイトがきっかけで入社

――阿部さんは証券会社やアパレルなど別の業界を経験し、2016年に社長に就かれました。なぜイケウチオーガニックを選びましたか。

 中小企業の事業承継で、私みたいなパターンはまれなケースですね。証券会社やアパレル業を経て、民事再生も経験しました。2009年当時、私は転職活動をしていたのですが、都内で(イケウチオーガニックの前身の)池内タオルが展示会をしていて、その展示会のアルバイトから始めました。

 会社は、2014年から「池内タオル」からIKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)に社名変更し、今のマークやコーポレートカラーなどブランディングを確立させました。東京、京都や福岡に直営店を出しました。

 私は2015年から営業の責任者となっており、2016年の新年に前社長の池内(現代表)が入院し、池内不在のままその年の決算を迎えました。最終的に退院したのは5月くらいになりました。2015年は大きな赤字を出してしまって、周囲から「大丈夫か」と心配する声が聞こえてくるようになりました。当時私が財務部で経営管理をやっていたので、病室で池内から「頼む」と言われ、今の立場になったという経緯です。

おそろしくきれいな理想を掲げる会社

――池内代表は創業家ですが、創業家ではない阿部さんがどうして社長を引き受けようと思われたのでしょうか?

 うちの経営理念が「最大限の安全と最小限の環境負荷」なのですが、それまでに勤めていた証券会社もアパレルも、そこを追い求めているとビジネスとして成り立ちません。一方で、イケウチオーガニックはおそろしくきれいな理念を掲げています。この理念を続けようと考えたことがきっかけです。

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