「子育ては永遠の悩みです」

 町工場向けに金属材料の販売を手がける「高橋商店」の高橋勇佑さん(Twitterユーザー名:@GaochaoSyouten)は妻、2歳半の双子の男児、三男の5人家族です。「どうしたら両立できるのか、子育ては永遠の悩みです」と話す高橋さん。

 双子が生まれたばかりの時は、帰宅してから就寝するまで仕事のことを考える日々でしたが、就寝後も一晩中夜泣きで起こされ、寝たのかどうか分からない状況で出社していました。

家族を最優先

 高橋さんは「後継ぎは、会社に入って、改善したいことややりたいことで頭の中があふれ、焦る気持ちが強いと思います。家でも常にタスクが頭の中で引っ掛かり、子どもに、早く寝てくれと自分の都合を押し付けてしまう場面が出てきます。それが家庭内のイライラにつながり、悪循環に陥ります」と話します。

 そこで「自分は後継ぎである前に、夫であり父である」として、家族を最優先にすることを決めました。子どもと過ごせる時間は100%子供に注ぐ。家事はできる範囲で100%する。それが終わり、余った時間に仕事や勉強をする、と自分の中でルールを作りました。

「ワンオペ育児」を引き受ける理由

 「これから子育てをされる方には、いわゆる『ワンオペ育児』を積極的に実践することをオススメします」という高橋さん。最初に生まれたのが、双子だったため、哺乳瓶を洗い、消毒し、ミルクを作り、オムツを替えて、風呂に入れ、着替え、寝かしつけなど積極的に手を動かしました。

 子どもが産まれて大切にしているのが、夫婦それぞれが自分の時間を作り大切にすることです。妻に自分の時間を持ってもらうために、休日に「ワンオペ育児」を引き受けています。高橋さんに、10月10日の出来事を振り返ってもらいました。当日の心境を再現するために、高橋さんの文章をほぼ原文通りに掲載します。

10月10日、家の中で元気に遊び回る双子

 先日のある日、久しぶりに「あの日」が訪れた。そう、「ワンオペday」だ。コロナ禍で久しぶりとなってしまいましたが、妻に1人の時間を過ごしてもらうため、外出してもらったのです。
 ワンオペは、今まで幾度となく地獄を見ているだけに、準備が入念になります。妻が家を出るのは12時。この日はあいにくの雨でしたが、朝から家の中で遊びまくり体力を使わせる作戦。
  妻を駅まで車で送り、車中で子どもたち全員を就寝させることに成功。家に帰り、一人ずつ寝室に運びだし任務完了。3時間くらい昼寝してくれと祈ったものの、なんと1時間弱で全員が起床。次男は「ママ、ママ」と連呼してギャンギャン泣く。長男はお腹が空いたと暴れる。三男はただただ泣く。
  そう、これが地獄のワンオペ。
  先日、なぜかツボにハマっていたお笑いネタ番組を見せて双子を落ち着かせ、その間に三男のオムツ替えとミルクを作り、ミルクを飲ませている間に双子のご飯を温めて、席に座らせて食べさせ、ミルクを飲み終わって泣いている三男を抱き抱えながら、ケンカをし始めた双子を静止させ、おしっこをパンツに漏らした次男を風呂に連れていき、戻ってきたらまた泣きまくっている三男を抱っこし、、、会社や仕事のことを考える時間はありませんでした!(笑)

身近に相談できる人がいない

埼玉県西部で80年以上続く「松澤園」の後継ぎ、松澤康之さん。現在の企画職と家業のお茶の知識を生かし、茶企画プロモーターとしても活動している

 茶舗「松澤園」の後継ぎ、松澤康之さん(Twitterユーザー名:@chajin_matsuzaw)は、流通小売業で会社員として働きつつ、家業を継げる形を模索しています。妻と0歳の娘との3人暮らしです。

 「近くに気軽に相談できる人がいないというのは、なかなか孤独です」と話します。会社は男性の育休制度を整えようとはしているものの、同じ部署内に子育て中の社員はいません。「奥さん、やってくれないの?」や「オレのときは……」などと言われてしまうことも。「意識の変わり目という過渡期なのだと思いますが、やはり身近な人の理解は必要ですね」と打ち明けます。

 周りにいない代わりに、子育ての情報を収集しようと、雑誌をめくると「イクメン」として扱われている男性の子育てへの参加のレベルが高すぎて圧倒されてしまうこともあります。家族からもその基準で見られてしまい「力不足や物足りなさを痛感してしまいます」。

仕事のスキルで子育てでも成果

 そんな悩みを持つ松澤さんですが、休日のお出かけなど自分のできるところから関わっていこうとしています。現在の仕事が企画職のため、家族とのお出かけ企画を立てて、プロモーションして期待感を高める、ということは得意分野です。

 たとえば、家族で 「今度の日曜は水族館に行こう」という予定を立てるとします。

  • ホームページでお魚のことを調べる
  • 「ファインディング・ニモ」など魚に関係しそうな映画を観る
  • ご飯に魚やお刺身を買ってきてみる

 といった生活の中にイベントを結びつけると、当日の満足度が上がるといいます。

 「仕事で培ったスキルを活かして子育てに向き合う、というのが後継ぎのみなさんにもオススメしたいノウハウです」