数々の失敗が生んだ「伊右衛門」

 中小企業の後継者にとって、いかに引き継いだブランド価値を守り、成長させるかは、大きな課題です。これは大企業も例外ではありません。

 2004年に誕生した「伊右衛門」は、サントリーにとって背水の陣で挑んだ商品でした。それまでの緑茶市場は、伊藤園の「おーい お茶」が一強で、各社がその後を追う戦国時代。サントリーは惨敗を続けていました。大塚さんは当時の状況をこう振り返ります。

 「拡大する緑茶市場に食い込むには、柱となる商品の開発が欠かせないと分かっていましたが、新商品を投入しては1年ほどで撤退することを繰り返していました」

 2001年には「熟茶」という新商品を売り出しましたが、コンセプトの段階から、消費者のニーズを満たせておらず、売れませんでした。

サントリーのソフトドリンクの商品群

 サントリーは失敗の原因を徹底的に見直しました。行き着いたのが、コンセプトよりも緑茶の「中身そのもの」を見直すという視点でした。それまでは、コンセプトやパッケージデザインなどを前面に出していましたが、「外側の目新しさだけでは、いつまでたっても勝てない」と、方針転換を図ります。

 キーワードは「これまでとまったく違う緑茶を世に生み出す」。実現を支えたのが、「熟茶」の挑戦で生まれた成果でした。失敗の中から、成功につながるどんなヒントを見いだしたのでしょうか。

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