2020年に最多となった休廃業・解散企業の特徴は?黒字だった企業が6割
全国で休廃業・解散した企業は、2020年に4万9698件を記録し、2000年に調査を始めて以来、最多となりました。どのような企業が休廃業や解散したのでしょうか。たとえば、直前期に黒字だった企業が6割を超えていました。中小企業庁の2021年版中小企業白書から紹介します。
全国で休廃業・解散した企業は、2020年に4万9698件を記録し、2000年に調査を始めて以来、最多となりました。どのような企業が休廃業や解散したのでしょうか。たとえば、直前期に黒字だった企業が6割を超えていました。中小企業庁の2021年版中小企業白書から紹介します。
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東京商工リサーチによると、2020年の企業倒産はコロナ禍での政府などの資金繰り支援策が奏功し、7773件と前年よりも7.2%減となりました。中小企業白書では「金融支援の拡大や持続化給付金などおおむね各種支援策が功を奏している」とみています。
しかし、2020年に全国で休廃業・解散した企業は、4万9698件と前年より14.6%増となり、2000年以降で最多を記録しました。
この点について、東京商工リサーチは「中長期的な事業の持続可能性の改善には直結せず、先行きを見通せず事業をたたむ『あきらめ型』休廃業を回避できていないとみられる」とコメントしています。
中小企業白書によると、休廃業とは、特段の手続きをとらず資産が負債を上回る資産超過状態で事業を停止することを言います。
解散とは、事業を停止し、企業の法人格を消滅させるために必要な清算手続きに入った状態になることをいいます。基本的には、資産超過状態ですが、解散後に債務超過状態であることが判明し、倒産として再集計されることもあります。
それでは、2020年に休廃業・解散した企業の特徴を知るために、次の4つのポイントで分析します。
まず、休廃業・解散した企業の業種です。建設業、製造業、卸売業と続き、2018年、2019年と比べても業種の構成比に大きな変化はありませんでした。2020年は業種によらず、休廃業・解散した企業が増えたことになります。
次に、従業員規模です。どの業種でも従業員5人以下が大多数を占め、小規模な事業者がほとんどだったことがわかります。
休廃業・解散企業の代表者の年代を調べると、70代、80代以上が半数以上を占めています。この割合は少なくとも2014年以上増えており、中小企業白書は経営者の高齢化が休廃業・解散企業が増える一因だとみています。
休廃業・解散した企業のうち、直前期の業績データが判明している企業について集計すると、2014 年以降一貫して約6割の企業の当期純利益が黒字となっています。
さらに、収益力を示す売上高当期純利益率(当期純利益を売上高で割った値)を見ると、2018 年から 2020 年にかけて、利益率が5%以上の企業が25%程度で、高利益率企業の廃業があることがわかりました。
2020年の休廃業・解散企業はここ20年で最大となりました。ただし、新型コロナの影響に加え、経営者の高齢化が進むなかで、廃業などを選んだ企業が増えたと考えられます。
中小企業白書は「経営者自身が事業を継続する意向がない企業も含まれることに留意する必要があるが、一定程度の業績を上げながら休廃業・解散に至る企業の貴重な経営資源を散逸させないためには、意欲ある次世代の経営者や第三者などに事業を引き継ぐ取組が重要である」と結論づけています。
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