クラウド型請求書発行システムのおすすめ3選 費用や注意点を比較
請求書とは、債権者が取引先に支払いを促す書類です。クラウド型請求書発行システムの導入により、業務の効率化や資金繰りの改善、経費削減といったメリットが見込めます。おすすめのシステムについて、費用や注意点を比較しました。
請求書とは、債権者が取引先に支払いを促す書類です。クラウド型請求書発行システムの導入により、業務の効率化や資金繰りの改善、経費削減といったメリットが見込めます。おすすめのシステムについて、費用や注意点を比較しました。
目次
請求書発行は、エクセルなどのソフトを使って発行することが可能です。
ただし、テンプレートがあらかじめ用意されている請求書発行システムを用いない場合、請求書に必要な項目を漏らさずに記載する必要があります。
請求書に必要な記載項目は、国税庁が定める「消費税に関する項目」と、「取引の決済に必要な項目」です。
参考:国税庁・No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた
なお、取引先によっては会社捺印が必要になることもあります。
請求書を発行するときは、次のようなポイントに気をつけましょう。
請求書発行では、取引先への請求方法が「締め請求」か「都度請求」かに気をつけなければいけません。
「締め請求」とは、取引先との契約に定められた請求締め日や決済締めに基づいて請求する方法です。
例えば、20日締め翌月20日払いで、今が2月だとしましょう。このときは、1月21日から2月20日の間に発生したすべての取引の請求書を2月20日に一括で発行し、請求を行います。入金は翌月20日払いなので、3月20日にされます。
「締め請求」を行うときは、締め期間の取引情報を別のエクセルなどでまとめなければいけません。実務的には面倒な作業で、請求漏れ・ミスの原因にもつながるので、注意する必要があります。
一方、「都度請求」とは、物品の引き渡し、サービスの提供が行われた日に、納品書などと一緒に請求書を発行する方法です。ワンタイム取引、小規模事業者間取引などでよく見られます。
請求書を発行する側としては、煩雑な作業が必要になる「締め請求」より「都度請求」にしたいところでしょう。
しかし、請求方法をこちらで選ぶことは難しく、取引先との調整で決まるのが一般的です。
なお、請求書発行をサポートしてくれる請求書発行システムなら、一括請求・都度の設定を変えるだけでどちらの請求方法にも対応できます。
そのため、「締め請求」が多い場合は、システムを利用したほうがいい可能性があります。
請求書の発行は、会計上は売上(PL勘定)と売掛金(BS勘定)の計上が一般的です。
だだ、業界固有の事情や取引の多様化で、請求書の発行と会計上の管理に注意が必要な取引があります。
例えば、建設業界の着手金や年間払いの請求書は、入金時に前受金(売掛金を含む場合もある)で処理されます。
売掛金であれば、滞留債権は管理できますが、入金時に処理される前受金などは入金まで簿外となり滞留債権の発生の可能性が高くなります。
企業は、国税庁の税務監査に備える必要があります。
請求書は、請求元にとっては企業の売上の基礎、請求先にとっては仕入や費用の基礎となる書類です。そのため、両社は請求書を一定期間保存する義務があります。
原則的な保存方法は、紙による保存です。クラウド型の請求書発行システムで作成した請求書も、基本的には紙に印刷して保存しなければいけません。
しかし、電子帳簿保存法の施行により、税務署などの承認を条件に電子データとして保存できることも認められています。
電子化による保存は、保管コストの削減やセキュリティ強化など色々なメリットがあります。
近年、要件緩和により取り組みやすくなっていますので、システム化と併せて電子帳簿保存に取り組んでみるのもいいでしょう。
請求書発行など債権管理は、経理の中でも、資金繰りに直接影響する業務です。正確性や効率性などが求められるため、これを機にクラウド型請求書発行システムの活用を検討してみましょう。
クラウド型請求書発行システムとは、請求書発行に関連する業務を効率化するクラウド型のシステムです。クラウド型とは自社でシステムを保有することなく、IT事業者などが提供するソフトやサーバーにアクセスして利用することをいいます。
クラウド型請求書発行システムには、請求書をWeb上で作成し送配信できる請求書発行に特化したシステムや、売上計上や入金消込など会計システムと連携したシステムがあります。
筆者は、債権管理の重要性を考え、基本的には会計システムと連携したクラウド型請求書発行システムをおすすめしています。
以下、3つのシステムをご紹介します。
会計freeeは日本で初めてリリースされたクラウド型会計システムです。
専門性が高く成熟した会計ソフト市場に、2012年3月に経理初心者でも使える会計ソフトのコンセプトで市場に登場して以来、クラウド会計トッププレイヤーの一つとなっています。
freeeに遅れること1年、マネーフォワードは、2013年11月にクラウド会計をリリースしました。
現在は、特に個人事業主や小規模事業者を中心にfreeeとマネーフォワード(MF)がクラウド会計市場でしのぎを削っている状況です。
楽楽明細は、請求書発行に関連する機能が充実しています。取引先が多く、様々な様式の請求書発行を求められる事業者におすすめの請求書発行システムです。
マニュアルによる請求書発行や入金消込では様々な課題が生じます。クラウド型請求書発行システムの導入により、マニュアルによる請求書発行の問題を解決し、次のような効果が期待できます。
請求書周りの業務を手作業で行うと業務負荷が大きくなります。電子請求書により次のようなことが実現できます。
業務の遅れ、ミスなどの削減が可能となり、請求書関連の業務品質が向上します。
債権管理の効率化や業務品質の向上は、会社の資金繰りの改善にもつながります。
人件費をはじめとする請求書関連の経費削減にも、大きな効果があります。
クラウド型請求書発行システムの多くは、月額料金方式を採用しており、また、無料期間を設けています。そのため、自社のニーズに沿ったシステムを選ぶことが比較的簡単に行えます。
初期投資が大きいオンプレミス(自社所有・運用)型に比べて、初期投資がない分、選択の自由度が高いのがクラウド型の特徴です。
しかし、クラウド型請求書発行システムは多くあるため、目についたものから試して探す、といった方法だと時間がかかりすぎてしまいます。
次に、自社に適したシステムを選ぶために、おさえておきたいポイントをご紹介します。
自社の事業内容や規模は選択するうえで大切なポイントです。
取引先や請求書の発行数がそれほど多くなく、請求書発行に携わる社員が少ない場合、楽楽明細のような請求書発行に特化したシステムはオーバースペックになります。
逆に、取引先ごとに請求書様式を変える必要があったり、締め請求と都度請求の併用など請求業務が複雑だったりする会社は、請求書発行機能が充実した特化型請求書発行システムがおすすめです。
請求書発行や入金管理は、販売管理システムや会計システムと密接に関連します。
債権管理の業務プロセスである見積・発注書・発注請書・納品書・請求書発行までは、主に販売管理システムの機能です。
請求書発行以降の売上・売掛金計上・入金消込・入金にかかる仕訳・滞留債権管理などは主に会計システムの機能です。
請求書発行システムを選ぶ際には、他のどの業務をシステム化したいのかを優先付けして選択することも大切です。
たとえば、従前ほどよりは少なくなりましたが、先方指定請求書の発行を求められるケースは少なくありません。
売手としては買手の意向に沿った対応が求められるため、先方指定請求書への対応を決めておく必要があります。
先方指定請求書は、基本的にマニュアルでの発行です。システムで発行した請求書では対応できません。
しかし、システムであえて同じ内容の請求書を作成するケースもあります。
システムで発行した請求書は結局破棄になるため、無駄な業務に思われるかもしれませんが、請求の内容をシステム上に残しておくことで、システムによっては仕訳処理や入金管理が簡単になります。
先方指定請求書に対しては、それがどのくらいあるのか(ボリューム)を考慮し、請求書発行システムと会計システムをどの程度連携させたいのか(システム化の範囲)などを踏まえた運用方針を決めることが必要です。
freeeやマネーフォワードといった会社は、請求書発行と合わせて、仕訳、入金消込、滞留債権管理など会計システムの機能も提供しています。
請求書発行や入金管理は、会社の資金繰りに直結する重要な業務です。
そのため、システム化による業務効率化以上に、請求ミス・漏れの撲滅や滞留債権の督促・早期回収などを図れる仕組みが必要となります。クラウド型請求書発行システムの導入もその解決策の一つです。
「売掛金の早期回収」を目的として、自社の業務課題を洗い出し、クラウド型請求書発行システムを核としたシステム構築をおこなうことをおすすめします。
※7月7日追記 楽楽明細の「利用時の注意点」について「csvなどによる販売管理システムとのデータ連携は可能」と追記しました。
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