目次

  1. AppSheetとは
  2. AppSheetの特徴
  3. AppSheetでできること
    1. 現場で使えるアプリの開発
    2. Googleサービスとの連携
    3. 「Automation」で単純作業を自動化
  4. AppSheetの使い方 事例で紹介
    1. データベースの選定
    2. AppSheetの会員登録
    3. アプリの開発環境を設定する
    4. エディターでアプリの設定を行う
  5. AppSheetの料金プラン
  6. AppSheetの留意点
    1. データベースへの同期が遅い
    2. 分析機能は簡易的
    3. 現在日本語の公式対応なし
    4. UIの細かい設定ができない
  7. 現場のためのノーコード、それがAppSheet

 AppSheetとは、開発経験がない人でも高機能なアプリを作れるツール(ノーコードツール)です。

 AppSheetは「市民開発」というキーワードを掲げてサービスが開始されました。市民開発とはシステム開発はエンジニアではなく「現場で働く人が作る」といった思想です。

 近年、日本ではkintoneやSalesforceを導入する企業が増えています。機能が豊富で便利な反面、高度な機能を作るにはエンジニアを雇う必要があります。

 一方、AppSheetの場合、社員名簿などの管理アプリやカメラ撮影、QRコード読み取り、電子署名などの機能がマウスだけで作れます。

 データ元もGoogleスプレッドシートやエクセルといった使い慣れたデータから、MySQL・SQL-Serverといった高度なデータベースまで幅広く対応しています。

 それに加え2021年(令和3年)4月には「AppSheet Automation」と呼ばれるRPA(Robotic Process Automation)ライクな作業自動化機能もリリースされました。

 Automationでは、アプリ内のデータ追加・更新・削除に際し、メール送信、プッシュ通知、データの自動変更や外部ツールへのAPI連携などを備えています。

 AppSheetでは、具体的に次のようなことができます。

 AppSheetでは、Googleスプレッドシートやエクセルなど普段使っているデータを使用してアプリ開発ができ、データベースなどの環境構築をする必要がないのが特徴です。

 すぐに開発を始められ、また改良もスピーディーに行えるので、刻一刻と変化する現場にも対応できます。

 AppSheetは、GoogleカレンダーやGoogleドライブなどのGoogleサービスとの連携ができ、各サービスで扱っていた個々のデータをまとめて管理できます。これにより、たとえばAppSheetで顧客情報を一元管理するといったことが可能です。

 「AppSheet Automation」を利用すれば、簡単に単純作業の自動化ができます。

 私が知る企業の中に、現場の検査結果の報告書の作成に3~5時間かかっていたところがありました。

 しかしAutomationを利用して、検査結果の登録・報告書の作成・報告書のメール送信までを自動化したところ、作成にかかっていた時間が0になりました。これにより、残業時間の大幅な削減も実現しています。

 では、AppSheetの使い方をご紹介しましょう。この記事では、サンプルとして社員名簿アプリを作ります。

 AppSheetは様々なファイルをデータベースにできますが、今回はGoogleスプレッドシートを使います。

 まずGoogleドライブ上にGoogleスプレッドシートのファイルを作成し、ファイル名、シート名を記入します。

 今回はファイル名を社員名簿アプリ、シート名を社員名簿にします。

 管理したい項目を1行目に入力します。1列目にはID、2列目移行には管理する項目名の名前やメールアドレスなどを入力します。日本語でもOKです。

 AppSheetに移動し、マイアカウントにログインします。

 認証できるアカウントは様々ありますが、今回はGoogleアカウントを使用します。
ログインに成功したらMy Appsに移動します。

 新しくアプリを作成する場合、「Quick Start」の「Make A new app」をクリックします。

 3つの選択肢からアプリ作成方法を選択します。

  1. Start with your own data(自分で用意したデータベースを使う)
  2. Start with idea(アプリで実現したいことを書き、AppSheetが自動で初期設定を行う。入力は英語のみ対応)
  3. Start with a sample app(用意されているサンプルアプリから開始する)

 今回は自分でデータを用意しているので、「Start with your own data」をクリックします。

 App nameを入力します(ここは英語のみです)。Categoryはアプリの設定には関係ありませので、適当に選んで構いません。

 左下部の「Choose your data」をクリックします。

 GoogleDriveのファイルダイアログが開くので、先ほど作成した社員名簿アプリのスプレッドシートを選択します。

 数秒待つとAppSheetのエディター画面が開き、プロトタイプ状態でアプリが作成されます。この時点で、すでにアプリを使えるところまで自動で設定してくれます。

 なお、エディターの言語は英語ですが、GoogleChromeユーザーであれば、翻訳機能で日本語にできます。少しレイアウトは崩れますが、慣れるまでは日本語でよいと思います。

 エディター画面を開いたら、画面左側にあるメニューから設定を行います。それぞれ何が設定できるのかご説明します。

Info

 アプリへの設定ではなく、アプリ概要やプライバシーポリシーを作成できるメニューです。アプリ内に表示されるアプリ名を変更することができます。

Data

 スプレッドシートで設定した管理項目の詳細設定ができるメニューです。画面中央にある横に並んだ設定項目について、それぞれ簡単に紹介します。

TYPE 文字列、数値、日付などを設定する項目。タイプを設定することにより、アプリ側の入力方法が自動で変更される
KEY データのIDを設定する項目
LABEL データの代表名を設定する項目
FORMULA 関数を設定する項目。スプレッドシートであれば関数をそのまま使用することが可能
SHOW 表示・非表示
EDITABLE 編集の可・不可
REQIRED 必須にするかどうか
INITIALVALUE 初登録時の初期値
DISPLAY NAME 項目名の変更
DESCRIPTION 編集時の項目名の変更
SEARCH フリー検索にかかるかどうか

UX

 UXは、デザインや言語表記を設定できるメニューです。5つのタブがありますが、ここではView、Blanding、Localizeについてご説明します。

【View(ビュー)】

 アプリの見た目や動きを変更できるタブです。AppSheetの1つ1つの画面を設定します。

 ビューは1テーブルに対して大きく3つに分けられます。

1. データ全体を表示するビュー(Deck、Table、Gallaryなど)

2. 個別のデータを表示するビュー(Detail)

3. データの編集をするビュー(Form)

 この他にもCalendar(カレンダー)やChart(チャート)など様々なビューがあります。これらを組み合わせることで以下のようなアプリを作ることもできます。

【Blanding(ブランディング)】
 ベース色、アプリロゴなどが変更できます。

【Localize(ローカライズ)】
 英語表記の部分を日本語に変更するのもここで設定ができます。

Behavio

 アプリの動作を設定できるメニューです。タブのひとつであるActionsについてご紹介します。

【Actions(アクション)】

 アクションはアプリ内の機能を設定できます。

 Dataの部分でカラムのTYPEをE-Mailなどに設定しておくと、メール送信のアクションが自動で生成されます。

 アクションは自分でも作ることができ、他テーブルへのデータをセットしたり、csvのダウンロード機能を搭載させたりできます。

 編集や追加ボタンもアクションで作成したものであり、表示場所は青枠の部分で変更することができます。

Automation

 2021年4月に公開された自動化ツールです。

 AppSheetアプリ内のデータの追加・更新・削除に際し、メール送信・プッシュ通知・他サービスへのAPI連携などのワークフローを設定できます。

 条件によって動作するワークフローを変えることもできます。

Security

 ログインユーザーの認証アカウントなどを設定します。基本はGoogleアカウントでよいでしょう。

Intelligence

 Enterpriseからになりますが、AIを使った機能を使うことができます。

  • Smart Assistant:声で機能を提案してくれる機能(現在は英語とスペイン語のみ対応)
  • Predictive Model:データベースから予測をする機能
  • OCR Models:写真をとり、文字を自動で読み取る機能

Users

 アプリを配布する際はUserにメールを追加し、招待メールが送られます。プロトタイプであれば、1アプリにつき10人まで無料で使用できます。

 ユーザー権限は、「アプリの使用のみ」「アプリの設定閲覧のみ」「アプリの編集権限まで」の3種類があります。

Manage

 アプリをデプロイ(公開)や、ユーザーの使用履歴などを確認できます。アプリをデプロイするときは、「Run deployment check」をクリックします。

 少し待つとチェック結果が表示されます。すべてPassになっていればOKです。WORNIGでもデプロイできますが、できるだけ修正してください。

 最後に「Move app to deployed state」をクリックすると、アプリが公開されます(デプロイすると10人以下でも有料になります)。

 なお、メール通知やプッシュ通知が必要なければデプロイしなくても利用できます。

 AppSheetの基本機能は、プロトタイプであれば10人まで使用できます。また、プロトタイプでもほぼすべての機能は使えます(アプリ開発者以外へのメール・プッシュ通知機能は不可)。

 まずはFreeで試し、自社に合っていると感じたらStarterやCoreに移行するといった運用でもいいでしょう。

 Enterpriseは、データベースやAIなどの高度な機能が付加されます。必要であれば料金や導入に関しては、直接AppSheetへご相談ください。

 AppSheetの問い合わせ先はこちら。

 最後に、AppSheetを使ううえで気をつけたいポイントをご紹介します。

 実際のデータベースに反映されるのに10~20秒ほど時間がかかります。

 リアルタイムに情報を必要とするアプリには向いていません(Enterpriseより上のプランであれば、同期速度が圧倒的に向上します)。

 AppSheetは、簡易的な分析機能しかありません。ただデータベース自体は共有できるので、データの更新はAppSheet、分析はBIツールといったシステムを組むことは可能です。

 AppSheetは現在、日本語に対応していません。翻訳に頼ると細かなニュアンスがわかりづらいため、もしフル活用したいと考えているならそれなりに学習時間が必要です。

 AppSheetでは、アプリの色やボタンの形・位置などの細かい設定はできません。

 AppSheetは、現場の人でも開発しやすく、短時間で高機能なアプリを作れるノーコードツールです。

 筆者も現場で働きながらエクセル(VBA)やスプレッドシート(GAS)を使って業務効率化をしていたのでわかりますが、シンプルで使いやすいことはとても重要です。

 一般的なノーコード(kintone, salesforce)が足し算方式のアプリ(テキストボックスやボタンを自分で配置する)であるなら、AppSheetは引き算方式(出来上がったものから、必要なものだけ残す)のアプリです。

 SalesForceやkintoneなどは自由度が高く使い勝手が良い反面、使えるシステムを開発するにはエンジニアが必須となります。

 しかし、エンジニアに任せると業務としては使えないシステムができてしまう、というのも珍しい話ではありません。エンジニアはあなたの仕事の専門家ではないからです。

 AppSheetであれば、はじめは外部ベンダに協力を依頼し、最終的には自社管理するといった少しずつのレベルアップが可能です。

 AppSheetはITリソースの少ない中小企業にこそ、学習、金額のコストパフォーマンスが最適なツールだといえます。

 Googleアカウントさえあれば無料で使えるので、ぜひAppSheetを使ってみてください。