目次

  1. 事業再構築補助金とは
  2. 事業再構築補助金の第1回通常枠の採択率は30%
  3. 事業再構築補助金の第2回通常枠の採択率は36%
  4. 第3回公募の事業再構築補助金いつからいつまで?
  5. 緊急事態宣言枠は継続
  6. 事業再構築補助金の第3回からの変更点
    1. 最低賃金枠とは
    2. 大規模賃金引上枠とは
    3. 通常枠の補助上限額の変更
    4. 売上減少要件の変更
    5. 申請不備は締切前に再提出が可能に
    6. 新規性要件の定義を見直し

 事業再構築補助金とは、予算規模が1兆1485億円に上る2020年度第3次補正予算で注目された事業の一つです。

 変化の激しいコロナ禍の経済社会に対応しようと、新規事業に取り組む中小企業などに向けた補助金です。2021年度に通常枠では5回程度予定されています。すでに2回の公募が締め切られ、7月30日に第3回の公募が始まりました。

 事業再構築補助金の第1回公募の採択結果は2021年6月にすでに発表されています。採択率は、緊急事態宣言特別枠で約55%、通常枠で約30%でした。

  • 緊急事態宣言特別枠……応募数5,181社、申請要件を満たした数4,326社、採択数2,866社
  • 通常枠……応募数16,968社、申請要件を満たした数14,843社、採択数5,104社
  • 卒業枠……応募数80社、要件を満たした数69社、採択数45社
  • グローバルV字回復枠……応募数2社、採択数1社

 採択率が低くなった理由について、中小企業庁は公開した動画で「この事業計画でなぜ顧客(売上)が増えるのかという根拠の説明が弱い提案が8割方だった」と説明しています。

 事業再構築補助金の第2回公募の採択結果は2021年9月に発表されました。採択率は、緊急事態宣言特別枠で約67%、通常枠で約36%でした。

  • 緊急事態宣言特別枠……応募数5,893社、申請要件を満たした数5,078社、採択数3,924社
  • 通常枠……応募数14,859社、申請要件を満たした数13,219社、採択数5,388社
  • 卒業枠……応募数48社、要件を満たした数36社、採択数24社

 公募要領によると、第3回公募の期間は次の通りです。

  • 公募開始:2021年7月30日(金)
  • 申請受付:2021年8月下旬予定
  • 応募締切:2021年9月21日(火)18:00

 第3回公募の特徴の一つは、もともと最初の2回の公募で終了予定だった緊急事態宣言枠が継続されることになった点です。

 通常枠の申請要件を満たし、かつ緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021年1~8月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象です。

 仮に不採択となっても、加点した後に通常枠で改めて審査されます。上記の要件を満たしていれば、「通常枠」のみ申請しても加点されます。

 補助額と補助率は次の通りです。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万~500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万~1000万円
21人以上 100万~1500万円

 このほか、第3回から事業再構築補助金の要件がいくつか変わりました。大きくは次の3点です。

  1. 最低賃金枠、大規模賃金引上枠を新設
  2. 通常枠の補助上限が、従業員数に応じた形に変更
  3. 売上高減少要件の変更

 最低賃金枠とは、最低賃金の引き上げの影響を受け、その原資の確保が難しく、業況の厳しい中小企業などを対象とした新たな類型です。

最低賃金引き上げを踏まえた見直し(経産省の公式サイトから引用)

 補助率が4分の3と、通常枠の3分の2より高く、他の枠に比べて採択率を優遇されるメリットがあります。また、仮に不採択となっても通常枠で審査されます。

最低賃金枠の要件

 最低賃金枠の申請要件は、通常枠の要件を満たし、さらに以下の2点も満たす必要があります。

  • 2020年10月~2021年6月、3カ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
  • 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること

最低賃金枠の補助額・補助率

 補助額と補助率は次の通りです。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万~500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万~1000万円
21人以上 100万~1500万円

 大規模賃金引上枠とは、多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業などを対象とした新たな類型です。

 仮に不採択となっても、通常枠で審査されます。

大規模賃金引上枠の要件

 大規模賃金引上枠の申請要件は、通常枠の要件を満たし、さらに以下の2点も満たす必要があります。

  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場 内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること

大規模賃金引上枠の補助額・補助率

 補助額と補助率は次の通りです。

補助対象者 補助金額 補助率
従業員数101人以上の
中小企業・中堅企業
8000万円超~1億円 中小企業:2/3(6000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4000万円超は1/3)

 第3回からは、通常枠の補助額も従業員規模で3つに分類されることになりました。たとえば、従業員数が51人以上の場合は、補助上限を最大8000万円まで引き上げられます。中小企業庁は「最低賃金の引上げの負担が大きい従業員数の多い事業者に配慮するため」だと説明しています。

従業員数 補助金額 補助率
20人以下 100万~4000万円 中小企業:2/3(6000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4000万円超は1/3)
21~50人 100万~6000万円
51人以上 100万~8000万円

 事業再構築補助金の補助対象要件の一つ、売上減少要件が次のように変わりました。

2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。

事業再構築補助金公募要領(PDF方式)

 この売上高に代えて付加価値額を用いることもできるようになりました。

 2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3カ月の合計付加価値額と比較して15%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3カ月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること

 このほかにも、申請期限に余裕を持って申請完了されたものの、形式的な不備などで、申請要件を満たさなかった事業者には、申請締切り前にその旨を通知し、再度申請することができるようになりました。

 さらに、新たに取り組む事業の「新規性」の判定において、「過去に製造等した実績がない」を「コロナ前に製造等した実績がない」に改められました。