メディアから見た取材したくなるプレスリリースとは 5つの伝えるポイント
新商品や新サービス、新しい技術開発など日々たくさんの企業からプレスリリースが出されています。しかし、メディア側からみると、ニュースに取り上げにくいものもあります。そこで、メディア側の視点から取材したくなるプレスリリースのテーマ選びと5つの伝えるポイントについて紹介します。
新商品や新サービス、新しい技術開発など日々たくさんの企業からプレスリリースが出されています。しかし、メディア側からみると、ニュースに取り上げにくいものもあります。そこで、メディア側の視点から取材したくなるプレスリリースのテーマ選びと5つの伝えるポイントについて紹介します。
目次
プレスリリースとは、メディアが取材し記事執筆をするうえでのニュースの素材となる情報です。元々メディアに掲載されることが目的でしたが、プレスリリースのプラットフォームサイトから直接SNSで拡散されたり、一部ニュースメディアにそのまま転載されたりすることも増え、次のような目的も生まれています。
このようにプレスリリースの目的は多様化していますが、今回は、メディアが取材したくなるテーマ選びに絞って紹介します。
広告はメディアの広告枠を買い取り、自社の新製品やサービスなどの伝えたい情報を広める役割を果たします。そのため、広告主が伝えたい内容を広く知ってもらえます。
一方で、プレスリリースはあくまでニュースの素材提供です。メディアがリリースの内容を発信するかどうか、どのような切り口で紹介するかはそのメディア、または記者の視点に委ねられます。
プレスリリースは広告と違って、無料で済ませられるメリットが強調されがちですが、プレスリリースを作り、送付先を調べて届け、取材の問い合わせに対応するには相応の人手やコストを見込んでおいた方が良いでしょう。
プレスリリース配信大手のPR TIMESによると、毎月2万件を超えるプレスリリースが出されています。多くは新製品・新サービスの告知ですが、新製品を発売したこと自体がそのまま全国ニュースになることは、普段あまりありません。多くの人が発売自体に関心を持つであろうAppleの新型iPhoneなどごく一部に限られてしまいます。
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しかし、新型コロナ関連のニュースが増えるなかで、着け心地の良いマスク、エレベーターのボタンなどを直接触らずに済むタッチレスツール、対面業務で感染防止に使うアクリル板などの製品は、企業規模にかかわらずたくさんニュースで取り上げられました。
メディアは、企業の新製品を紹介したいのではなく、世の中が求めている情報を紹介したいと考えており、メディアの意向と新製品が解決したい顧客の課題と合致していたのです。
8月12日時点のPRTIMSの「今週のランキング」「今月のランキング」は、大企業のプレスリリースが大半でした。しかし、そのなかで、歯ブラシ用の金型製造で国内トップシェアを誇る町工場、「武林製作所」(大阪府八尾市)が開発した口に張り付くのを防ぐプラスチック製フレーム「マスクのほね」がランクインしていました。
この製品を予防対策グッズのECサイト「MAMOL(マモル)」で取り扱い始めた岡田商会が8月6日にプレスリリースを出していました。
「マスクのほね」はこれまでにもテレビなど様々なメディアで取り上げられてきましたが、上記のプレスリリースで改めて5つのインターネットメディアで紹介されていました。
岡田商会の常務取締役岡山耕二郎さんは「8月6日にリリースを配信し、7日に拡散され、累計1700セットほどの注文をいただきました」と話しています。
取材されやすいテーマは、新製品だけではありません。たとえば、働き方をテーマにした場合、会社で次のような対応をしていませんか。
いずれも2021年に入ってニュースでよく取り上げられたテーマです。こうした世の中の動きをいち早くつかんで、自社の働き方改革をアピールすることは会社のイメージアップにもつながります。
たとえ、全国で初めての取り組みでなくても、業界や地域で先駆けて取り組むことで、ニュースとして取り上げられる可能性もあります。自社の取り組みや強みをあらかじめまとめておくと、話題のニュースに応じてすぐに情報提供することに役立ちます。
さいごに、取材されやすいプレスリリースを作るときに伝え方を工夫したいポイントを5つまとめました。プレスリリースといっても、いろんな種類があるので、すべてを網羅する必要はありませんが、作成するときに意識してみてください。
メディアはあなたの会社を紹介したいというよりも、あなたの会社が提供した情報も含めて、世の中が求めている情報を提供したいと考えています。
世の中が求めている情報とは、たとえば、新型コロナ対策に役立つ情報であったり、新しい制度や法律に合致した対応であったり、SNSで話題になっているグッズであったりと様々なケースが考えられます。
報道の現場では、ニュースはスピード勝負です。ニュース性のある話題をいち早くキャッチするためには、日ごろからニュースやSNSで話題になっていることを情報収集しておくと役立ちます。
SNSやGoogle Discover(グーグル・ディスカバー)などは、あなたの興味関心のあるテーマを優先して表示されやすいので、いろんなメディアから幅広く情報収集する方が良いでしょう。
メディアごとに求めている情報は違います。たとえば、ツギノジダイは、経営課題に解決に取り組んでいる経営者インタビューの記事を多く掲載していますが、新製品・新サービスそのものの紹介はほとんどしていません。同じようにテレビ、全国紙、地方紙、業界紙、インターネットメディアによってどんな情報に関心があるのか、企業をどのように紹介するのかも様々です。
どのメディアにも取り上げられそうなプレスリリースを作るよりは、取り上げてほしいメディアを想定しながら書く方が紹介される可能性が高まるでしょう。そのためには、まずターゲットとするメディアが日ごろからどのようなニュースをどのような切り口で取り上げているかを研究してみてください。
あなたの会社がプレスリリースで紹介する新製品・新サービス、もしくは社内制度などが誰のどのような課題を解決するのに役立つ情報なのかを明示できると、メディア側もどんなニュースで取り上げたいかがイメージできるかもしれません。
たとえば、8月中なら、新型コロナの感染が拡大するなか、なかなか外出できない子どもたちの学びや家遊びに役立つ情報などはメディアが関心を持つテーマだったかもしれません。
プレスリリースに客観的に判断できるデータがあると説得力が増すでしょう。客観的なデータが求められる理由の一つは、たとえば、たくさんある企業のなかからなぜ、あなたの会社をニュースで紹介するのかや、リリースに書かれていることをニュースで伝えるときに読者に説得力を持たせることに役立つからです。
ただし、プレスリリースにデータを盛り込む場合、情報の正確性には注意してください。私の経験でも、「全国初」と書かれていたのに裏取り取材をしてみると、先行事例がいくつも見つかったり、引用されている金額の根拠があいまいで、リリースの前提が覆ったりすることもありました。
データが間違っていると、出したプレスリリースの信頼性が落ちてしまいますのでデータを用いるときは十分に注意してください。
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