EPA(経済連携協定)の活用に必要な書類 JETROが作成支援ツール開発
EPA(経済連携協定)とは、特定の国や地域同士が貿易や投資を活発にしようと、幅広い経済協力関係を結ぶことを指します。関税の撤廃や引き下げなどの恩恵を受けようと、輸出企業がEPAを活用する時には原産地証明書などの書類が必要になります。こうした書類を簡単に作成できるExcelツール「原産地証明ナビ」を日本貿易振興機構(JETRO)が開発しました。中小企業などの利用を想定しており、無償で利用できます。
EPA(経済連携協定)とは、特定の国や地域同士が貿易や投資を活発にしようと、幅広い経済協力関係を結ぶことを指します。関税の撤廃や引き下げなどの恩恵を受けようと、輸出企業がEPAを活用する時には原産地証明書などの書類が必要になります。こうした書類を簡単に作成できるExcelツール「原産地証明ナビ」を日本貿易振興機構(JETRO)が開発しました。中小企業などの利用を想定しており、無償で利用できます。
目次
外務省によると、FTAとは「Free Trade Agreement」の頭文字を取ったもので、自由貿易協定を意味します。特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁などを削減・撤廃することを目的としています。
一方のEPAとは「Economic Partnership Agreement」の頭文字を取ったもので、経済連携協定を意味します。貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作りなど、FTAより広い経済関係の強化を目的としています。
日本とEPAやFTAを締結している国に自社製品を輸出したい国内企業からすると、関税や輸入を規制なしに、または一部削減して輸出できるメリットがあります。
WTO(世界貿易機関)は世界の貿易ルールを決める国際機関で「いずれかの国に与える最も有利な待遇を、他のすべての加盟国に対しても与える」という最恵国待遇を原則にしています。
ただし、先進国と途上国との溝が埋まらず、交渉に時間がかかっています。こうしたなか、特定の国や地域同士の協定であるEPAやFTAが広がりつつあります。
日本のEPA・FTAの現状(2021年1月現在)は次の通りです。
JETROや経産省によると、自社の商品の輸出時にEPAを利用したい場合は次の手順が必要となります。
EPAを利用するには、輸出企業において輸出商品がEPA締結国の原産品であること(原産性)を証明する「原産地証明」が必要になります。
しかし、手順の理解が十分でないことや、社内体制が整備できていないことなどから、特に中小企業のEPA利用はなかなか普及してきませんでした。
そこで、JETROは2021年8月から簡単に資料を作成できるツール「原産地証明ナビ」の無償提供を始めました。
ツールの案内に従って入力する必要情報にもとづいて、輸出商品の原産性が自動的に判定されると同時に、書類が自動作成されます。さらに、企業情報や商品情報をツール上に蓄積することで入力の手間を減らせます。
原産地証明ナビで作成できる資料は次の通りです。
※インボイスとパッキングリストは輸出の必要書類で、EPAを利用しない輸出でも利用できます。
原産地証明ナビの使い方は次の手順で進めてください。
輸出者や生産者の日本側企業、輸出先となる外国企業の情報、輸出商品の情報をそれぞれのリストに登録します。リストに登録することで、企業情報や商品情報を都度入力する手間を省けます。
「取引情報シート」では、個々の取引に応じて、取引企業や製品を選択します。前項で登録した企業情報や製品情報が選択肢になって選べます。
必要な書類に応じてシートを選択し、情報を入力します。「取引情報シート」で選択した企業情報・商品情報は「取引情報を転記」をクリックすることで、転記できます。
プレビューで確認の上で、「PDFで出力」をクリックすると、書類がPDF形式で出力されます。
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