目次

  1. PCT出願とは
  2. PCT出願のメリット
    1. 出願手続きの簡素化
    2. 調査結果を活用できる
    3. 猶予期間が得られる
  3. 中小企業のPCT出願件数
  4. PCT出願費用が半額になる支援策
    1. PCT出願費用の軽減制度
    2. PCT出願費用の交付金制度
  5. 相談窓口

 特許庁の公式サイトによると、PCT出願とは、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)により、ひとつの出願願書で、PCTに加盟する150カ国以上に同時に出願した効果を与える出願制度です。

 PCT出願には、おもに3つのメリットがあります。

 海外で特許により権利を保護しようとすると、それぞれの国で申請が必要になります。PCT出願は、申請する国の数が増えたときに手続きを簡単にするメリットがあります。

 国際出願すると、出願した内容に似た発明が過去に出願されたことがあるかの調査も行われるため、出願する国を厳選するときにも役立ちます。

 PCT出願は、あくまで出願のための手続です。特許を取得したい国のそれぞれで特許として認められるかどうかは、各国の特許庁の審査次第ですが、それぞれの国で手続きをするための翻訳文の作成などに原則30カ月の猶予期間が得られます。

 それでは、実際の出願件数はどうなっているのでしょうか。特許行政年次報告書2021年版によると、2020年の中小企業におけるPCT出願件数は5072件と、前年よりも6.9%増え、調査が始まった2010年以来最も多くなりました。

 ただし、出願件数は着実に伸びているものの、大企業と比べると低いという課題を報告書は指摘しています。

中小企業の海外への特許出願数の推移(左)と中小企業の海外出願率(特許行政年次報告書2021年版から引用)

 海外の進出先で特許を取っておくと、企業の独自の技術力の裏付けとなり、事業展開に有利となります。しかし、出願費用など中小企業にとって大きな負担となっています。

 そこで、次のような軽減制度と交付金制度を中小企業が利用すると、手数料がトータルで半分になります。

 特許庁の公式サイト内の「国際出願に係る手数料の軽減措置の申請手続」によると、出願時の送付手数料・調査手数料と、予備審査請求時の予備審査手数料が軽減対象です。

 申請するには、国際出願の願書や予備審査請求書といっしょに出願課国際出願室受理官庁へ軽減申請書を出す必要があります。

 特許庁の公式サイト内の「国際出願促進交付金の交付申請手続」によると、出願時の国際出願手数料と、予備審査請求時の取扱手数料が交付金の対象です。

 国際出願の願書または予備審査請求書の受理通知書の発送日後、かつ、手数料納付後から半年以内に、交付申請書を提出する必要があります。

 知財に関する悩みに対し、ワンストップで相談できる「知財総合支援窓口」があります。平日8:30~17:15に全国共通ナビダイヤル(0570-082100)で、全国47都道府県に設置された窓口につながります。

 海外で知財権を取得する際の支援策の紹介や外国の企業との知財に関するライセンス契約に関して専門家による助言も受けることができます。