目次

  1. ERPパッケージとは
    1. そもそもERP(Enterprise Resource Planning)とは
    2. ERPパッケージは狭義のERP
  2. ERPパッケージの導入メリット
    1. ERP構築に必要な予算が削減できる
    2. 他社で実績のある業務システムを導入できる
    3. 情報の管理が容易になる
  3. ERPパッケージを導入する前に知っておきたいポイント
    1. ERPパッケージを導入する前に目的を明確にする
    2. カスタマイズを前提に導入すると失敗しやすい
  4. ERPパッケージおすすめ4選比較
    1. SAP Business One
    2. NetSuite
    3. クラウドERP freee
    4. マネーフォワード クラウドERP
  5. クラウドERPを活用して次の一手を

 ERPパッケージとは、ERP(Enterprise Resource Planning)を実現するために必要な業務システムをひとまとめにしたパッケージのことです。ERP構築時にかかる予算を抑えたり、他社で実績のある業務フローを適用するために導入されます。

 ERPとは、販売・生産・会計・人事など、企業のあらゆる基幹系業務の情報を統合管理して、企業経営に役立てるための業務管理システム群の総称です。

ERPパッケージベンダーの代表格であるドイツのソフトウェア会社・SAP社が日本にやってきたのが1990年代のことですが、日本では、企業の基幹業務(会計、人事、販売、生産など)を個別にシステム化する手法が変わらず流行っていました。

 日本におけるERP導入の機運が高まったのは、2000年頃に、BPR(Business Process Re-engineering)という企業経営手法が欧米から持ち込まれたときです。

 BPRとは、企業の組織構造や業務の流れを見直すことで、企業経営を革新していくための経営手法のことを言います。

 具体的には、事業目標と対象業務の設定、業務の流れや課題の洗い出し、業務システムの利用を前提とした新たな業務フローの策定、実施と評価の流れで行われます。

 ERPは、BPRによって経営革新を実現するための基幹システム群とも言えるでしょう。

 今見てきたように、ERPパッケージはERPの一部ですが、ERPパッケージを狭義のERPとし、統合的につなぎ合わせて構築された業務システム全体を広義のERPと捉える考え方もあります。

 ERP=ERPパッケージといった説明がされるときがしばしばありますが、その際は狭義のERPを指しているでしょう。

ERPの全体像
広義のERP→販売管理、生産管理、会計管理、人事管理など、各種管理システムを統合的につなぎ合わせて構築された業務システム全体の総称 狭義のERP=ERPパッケージ→SAPを代表格とするシステムスイート全体で、経営資源統合管理を実現できるソリューションパッケージの総称
個別に動作する業務システム群

 ここで、広義のERP構築を考えた場合に、どのような業務システム群が存在するのかを少しだけ触れておきましょう。

多くの企業に共通の機能例

販売 店舗、顧客、商談、仕入、売上
人事 採用、入社、異動、退職、研修、人事考課、組織変更
会計 財務会計、管理会計

業種業態により異なる機能例

製造 在庫、資材(部品)、工程(生産計画)、製造原価
運送 運行、配車、動態
医療 電子カルテ、医療事務
サービス 予約

 これらはあくまでも一例なので、他にもERPの構成要素となる様々な業務システムが存在します。それらを組み合わせて連携させることで、企業経営資源を管理・計画することに繋げていく取り組みが広義のERPです。

 一方で、分析/計画系業務や、基幹/周辺業務の効率化が実現できるシステムを、事前にまとめてパッケージングされたものがERPパッケージ(狭義のERP)です。

 ERPパッケージ導入のメリットは主に次の3点があります。

  1. ERP構築に必要な予算が削減できる
  2. 他社で実績のある業務システムを導入できる
  3. 情報の管理が容易になる

 ERPを、まったくのゼロから構築すると、業務の流れの洗い出し、どの部分をシステム化するか、どのようなシステムにするかなどを1つずつ詰めていく必要があるため、膨大な開発予算が必要になります。

 しかし、ERPパッケージを導入することにより、ERP構築に必要な予算を削減することが可能です。

 また、他社で実績のある仕組みを導入できるため、自社の業務をERPパッケージに合わせることで、事業成果にもつなげやすくなります。

 例えば、実績のある採用管理システムを導入することにより、応募・選考・アフターフォローや各業務の自動化など、効率的な採用のやり方を取り入れやすくなる効果が得られます。

 ERPパッケージの導入により、情報が一元管理され、2重登録などの作業を省略できるようになります。

 これと合わせて、入力した情報がリアルタイムに共有されるため、現場目線では部門間での情報共有が進み、経営者目線では経営状況を素早く把握することが可能になります。

 それでは、実際にERPパッケージの導入に踏み切る前に、知っておいた方が良いポイントについて見ていきましょう。

 ERPパッケージを導入する際は、事前に目的を明確にすることが大切です。目的が曖昧なままだと、次のような問題が起こるときがあります。

  • 本当に必要な機能が含まれていないERPパッケージを導入してしまう
  • システムに業務を合わせられないことにより、結局システムが使われない
  • 不必要なカスタマイズが増えて、必要な予算が増大する

 スムーズに導入するためにも、解決したい課題を明確にしてからERPベンダーに依頼しましょう。

 業務の内容ややり方は企業によって様々です。そのため、ERPパッケージはカスタマイズを行うことができます。

 しかし、カスタマイズを行うことにより、導入までの時間が長くなり、追加の予算が必要になるため、必要以上のカスタマイズは推奨されていません。

 企業組織がソフトウェアアーキテクチャの制約を受けて規定されることを「逆コンウェイの法則」と言い、現代では一般的な考え方になっています。

 業務システムを、企業独自の仕事の流れや組織構造に合った状態にカスタマイズしていくのではなく、企業がシステムに合わせることも必要です。

 ERPパッケージは、SAP社をはじめ、さまざまな企業が提供しています。おすすめのERPパッケージをご紹介いたします。

 ERPパッケージと言えば、SAP社は外せません。グローバルでも、日本国内でも高いシェアを獲得しています。国内シェアなどの実績で選ぶのであれば、SAPを選択しておけば間違いがないと言えます。

 特に中小企業向けのERPパッケージソフトウェアである SAP Business One は、大企業向けの製品に比べて安価に利用が可能です。

 クラウド版も販売されているため、自社でサーバーの管理などを行う必要がない点などもセールスポイントです。

パッケージ名 SAP Business One
提供会社 SAP社/SAPジャパン
特徴 財務、販売・顧客、購買・在庫、ビジネスインテリジェンス(意思決定)の4領域をベースに、各業種別のソリューションを追加できる。主に財務や販売などお金の管理機能が充実しているERPパッケージ
利用するときの注意点 サプライチェーン企業向けの機能が中心のため、サービス業やその他の業種向けの主要業務関連機能は少なめ。その他、人事・組織・採用管理の基本機能に関しても標準機能の数が抑えられている
おすすめの企業 ・成長中の中小製造業や流通業
・企業の成長に合わせてシステムも拡張していきたい企業
料金 要問い合わせ
公式URL https://www.sap.com/japan/products/business-one.html

 国内でもグローバルでもERP市場として、昔からSAP社と並んで高いシェアを獲得していたのがOracle社です。

 Oracle社もSAP社と同様に、中小企業向けのコストパフォーマンスに優れたソリューションとして、 NetSuiteを提供しています。NetSuiteもSAP Business Oneと同様にクラウド版での提供です。

パッケージ名 NetSuite
提供会社 Oracle社/日本オラクル
特徴 会計管理、生産管理、顧客管理などの基本的なERPの機能に加えて、多言語対応の販売(EC)の機能も備えている。2カ月程度での導入も可能
利用するときの注意点 第三者企業が開発したアドオンはOracle社が保障するものではないため、利用に注意を払う必要がある
おすすめの企業 ・サプライチェーンの販売に重点を置く企業
・グローバル展開を目指す企業
料金 要問い合わせ
公式URL https://www.netsuite.co.jp/

 業種問わず、成長企業・上場企業での利用が進むERPパッケージがクラウドERP freeeです。

 freee社はクラウド会計ソフトのfreee会計、クラウド人事労務ソフトのfreee人事労務など、様々なクラウド型の基幹システムを提供している企業です。

 国内のクラウド会計・人事労務ソフトウェアの領域で高いシェアを獲得しています。

パッケージ名 クラウドERP freee
提供会社 freee
特徴 クラウドERP freeeの主要部分を成すfreee会計は中小企業での高いシェアを誇り、会計ソフト領域で国内シェアNo1を獲得。会計関連機能や、成長企業や上場を目指す企業のための企業が充実
利用するときの注意点 freee社が提供する、会計・人事労務以外の機能は、SalesForceなど外部サービスとの連携が必要
おすすめの企業 ・freee会計の主要ユーザー層である小規模事業者
・内部統制やIPO関連の機能なども搭載されているため、上場を目指す成長中堅企業や新興上場企業にもおすすめ
料金 要問い合わせ
公式URL https://www.freee.co.jp/cloud-erp/

 中堅企業向けを謳っているのが、マネーフォワード クラウドERPです。

 マネーフォワード社は、クラウド会計ソフトの領域でfreee社に次ぐ高いシェアを獲得しています。

パッケージ名 マネーフォワード クラウドERP
提供会社 マネーフォワード
特徴 マネーフォワード社は、個人向けの家計簿作成サービスから事業をスタートした会社。会計関連と人事労務関連の機能が充実。低コストに利用でき、最短1か月でのスモールスタートな導入が可能
利用するときの注意点 クラウドERP freeeと同様に、会計や人事労務以外の機能を利用する場合には、SalesForceなどの外部サービスとの連携が必要
おすすめの企業 低コストで利用でき、中小企業の事務作業を効率化するための機能が揃っているため、小規模事業者や中小企業に特におすすめ
料金 ・30人以下の法人は 2,980円~5,980円/月
・31人以上の法人は要問い合わせ
公式URL https://biz.moneyforward.com/

 最近では、業種業態や業務別のクラウド型のERPソリューションが多く販売されるようになってきました。

 日本国内のERPパッケージ市場を見ても、非常に多くの製品が販売されているため、選ぶのにも一苦労です。

 その反面、様々な企業の形に合うERPパッケージ選択の幅が広がってきたと言えるのかもしれません。

 中小企業が、ERPパッケージを導入に当たって各パッケージの良し悪しを判断することが難しい場合には、まずは地域に根付いて活動をしている身近なITベンダーに相談をされることをおすすめいたします。

 親身になって自社にとってベストな選択を一緒になって考えてくれる方と共に、ICT活用の戦略を練り、企業のICT活用やデジタル化、すなわちデジタルトランスフォーメーションを手堅く進めていくのが最善であると私は考えています。