目次

  1. 展示会ブースに来場者が集まらない5つの理由
  2. 来場者の「つかまりたくない」気持ちを理解する
  3. 集客のための「基本3原則」
    1. 何を扱っているかを掲示する
    2. 通路際に展示台を置く
    3. 立ち方・待ち方を工夫する
  4. 石川県のブースの工夫
    1. ブースの形は「囲われている感じ」
    2. 出展者も含めてにぎわいを
    3. 横幅が取れないなら引き出しで
    4. レイアウトを来場者の反応を見ながら変える
  5. コロナ禍で展示方法は変えるべきか

 出展費用やブースの設営費など100万円近くかけて数日間、展示会に出展してもほとんど立ち寄る人がいない……。中小企業からもそんな展示会の悩みを耳にすることがあります。

 立ち寄る人が少ないブースの特徴として、竹村さんは5つの理由を挙げます。

  1. 何を扱っているのかが一目でわかりにくい
  2. ブースに立ち寄りにくい雰囲気になっている
  3. あれもこれも商品を置いて特徴が見えない
  4. 雑然としていたり笑顔がなかったりと印象が良くない
  5. 会場のメイン通りから外れて気づかれにくい

 竹村さんは「逆に言えば、この5つの理由を反転すれば来場者が集まるブースになります」と指摘します。

 来場者が集まるブースを考える時に、もっとも大切なことは「来場者の気持ち」を考えることだと言います。

 竹村さんは、来場者は広い会場でより多くのブースを回りたいと思っており、基本的には「(特定のブースに)つかまりたくない」と思っていることを前提にしましょうと話します。

 ブースに目をとめるのは一瞬です。「来場者がブースの前を通り過ぎるのは数秒。左右に展示物がある場合は、目に止めてもらう時間はさらにその半分になります」

 そのうえで、出展社ができる集客のためにできる工夫として「基本3原則」を挙げています。

 ブースに大きく掲げられることが多いのは「企業名」。しかし、数秒で通り過ぎる来場者に企業名を大きく見せても立ち止まるきっかけにはなかなかなりません。

 竹村さんは「来場者に『何を扱っているか』が0.5秒でわかるように書きましょう」と話します。さらに、ブースの前に立つ人は展示台に注目しますが、遠くにいる人はブースの上部を見て展示内容を知ろうとします。

 そのため、人の頭の上の高さに「何を扱っているか」を掲示することが大切だと言います。

 一つのブースに足止めされず、多くのブースを見て回りたいと思う来場者にブースの奥まで足を踏み入れてもらうのは簡単ではありません。そこで、竹村さんは、来場者が手を伸ばせる範囲である通路際に展示台を置くことを勧めています。

 「通路際に来場者がふと手に取りたくなるものを置きましょう」。展示台を置けない場合、通路際にカバンを置ける場所をつくるだけでも、立ち止まってゆっくり話を聞いてもらうチャンスを増やせます。

 ブースの前にスタッフが立ちつくしていると、来場者はブースに入りづらい印象を与えます。

 そこで、参考になるのが「アパレル店」だと言います。商品をきれいに並べ直したりする「動的待機」をすることで、待ち構えているような圧迫感のある印象を和らげることができるといいます。

 出展者にそんなアドバイスをしている竹村さんは、10月の「インターナショナル ギフトショー」で石川県産業創出支援機構の委託で、県内22社が共同出展できるブースをデザインしました。

インターナショナルギフトショーの石川県の22社が出展したブース

 集合ブースをデザインするだけでなく、出展社に次の5つのポイントを伝えたといいます。

  1. 社名だけでなく「何を扱っているのか」を大きく書く
  2. 出展社が待ち構えないよう待機場所をつくる
  3. 出展社同士がコミュニケーションを取りやすくする
  4. ブースの印象は「置いてほしい店舗」のイメージに近づける
  5. バイヤーが見極めやすい展示方法にする

 5つのポイントを実現するために、次のような工夫をしたといいます。

 しかし、ブースの形は、通路に対して背を向ける「内部集中型」。通路際に展示台を置くという先ほどの説明とは正反対のデザインです。

 「囲われている感じが来場者の滞留時間を増やす効果があります。また、中央のテーブルを出展者の待機場所に定めることで、見てもらいやすい展示になりました」

 石川県のブースでは、出展者も含めて私服で参加しています。そのため来場者が少ない時間帯でもブース内には多くの来場者が来ているような「にぎわい」が生まれ、ほかの来場者が入りやすい雰囲気になっています。

 石川県のブースは22社の共同出展のため、各社の展示スペースの幅は90センチと短めです。しかし、竹村さんはあえて出展社に「展示したいものはすべて持ってきてください」と声を掛けました。

 ただし、雑多に置くと、一瞬で商品を見極めるバイヤーにとっても大変です。

 そこで、上の段は最も見てほしいメイン商品を配置し、下の段の引き出し部分には「ほかの商品はない?」と聞かれたときに備えておく「掘り出し物」を入れることで優先順位がわかるように配置しました。

 展示方法も来場者の反応を見ながら変えていきます。輪島うるし箸をつくっている「橋本幸作漆器店」は、ブースの最上段に置いている若者向けうるし箸を2日目に半分に減らしました。初日に足を止める来場者が少なかったことへの工夫です。

ブランド「漆のお箸 十八膳」を展開する橋本幸作漆器店の橋本きよ乃代表取締役

 周囲にあえて余白を持たせることで高級感を持たせるように工夫したといいます。

 新型コロナによる政府の緊急事態宣言が解除されて、展示会にも少しずつ人が戻ってきました。コロナ前と比べて展示方法に変化はあったのでしょうか。

 「オンラインツールなどを様々な用意してきましたが、来場者にとっては、展示場に来てお目当ての商品に出会えない機会損失が最も避けたいので、コロナの前後で来場者の行動に大きな変化はないように感じます」

 オンラインの役割としては、展示ブースを補完するのが良いのではないかと提案しています。

 「展示場に搬入できない実験装置や、技術に詳しいが現場を離れられない人と展示会をオンラインで結ぶことで展示会に出る価値をより高められそうです」