目次

  1. 小規模企業共済等掛金控除とは
    1. 小規模企業共済
    2. 企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)
    3. 心身障害者扶養共済制度
  2. 小規模企業共済等掛金控除の手続き
    1. 控除証明書の準備
    2. 年末調整
    3. 確定申告書に記入
  3. 掛金払込証明書、いつ届く?

 国税庁の公式サイトによると、控除できる掛金は次の三つです。

  1. 小規模企業共済
  2. 企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)
  3. 心身障害者扶養共済制度

 小規模企業共済とは、運営主体の中小企業基盤整備機構(中小機構)の公式サイトによると、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。2022年3月時点で約159万人が加入されているそうです。掛け金を所得控除できるため、節税としてもメリットがあると説明しています。

小規模企業共済の掛金と控除上限

 掛金は月1000~7万円まで500円単位で設定できます。全額が所得控除の対象になるので上限は年間84万円です。

 個人の預金口座からの振替で、振替日は、毎月18日(18日が休日の場合は翌営業日)です。掛け金の納付方法は、月払い、半年払い、年払いから選べます。

小規模企業共済のメリットとデメリット

 小規模企業共済のメリットは、まず所得控除の対象になることです。また、退職時の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が選べます。一括の場合は退職所得扱いに、分割の場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、この点でも税制上のメリットがあります。

 また、掛け金の範囲内で、低金利で即日貸付けできる事業資金の貸付制度を利用できます。

 貸付制度には次のような種類があります。詳しくは中小機構の公式サイトで確認してください。

  • 一般貸付け
  • 緊急経営安定貸付け
  • 傷病災害時貸付け
  • 福祉対応貸付け
  • 創業転業時・新規事業展開等貸付け
  • 事業承継貸付け
  • 廃業準備貸付け

 逆に、デメリットとしては、たとえば、20年未満で解約すると、受取額が掛け金の合計額を下回ることが挙げられます。解約時には十分に確認しましょう。

 企業年金連合会によると、加入者自らが掛け金を運用し、その運用結果によって給付額が決定される年金制度を確定拠出年金と呼びます。掛金額(=拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことから、確定拠出年金(DC)と呼ばれています。

 確定拠出年金には、事業主が掛金を拠出する「企業型DC」と、個人で加入して本人が掛金を拠出する「個人型年金(iDeCo)」があります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の概要、厚労省の公式サイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html)から引用

 厚労省の公式サイトによると、節税面でもとくに関心の高い個人型年金(iDeCo)とは、自分で決めた額(掛け金)を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る年金のことです。公的年金にプラスして受け取れる「もうひとつの年金」と説明しています。加入者が拠出した掛金額は、全額所得控除になるメリットがあります。

 国税庁によると、心身障害者扶養共済制度は、地方公共団体の条例で障害がある人の扶養者が加入する制度です。掛け金を支払うことで、扶養者が死亡や重度障害に陥った場合、障害のある人に一定額の年金を支給します。

 小規模企業共済等掛金控除になる掛け金がある場合に必要な手続きを紹介します。

  1. 控除証明書の準備
  2. 年末調整
  3. 確定申告書に記入

 小規模企業共済の場合「掛金払込証明書」が中小機構から送られてきます。iDeCoは証券会社などから送られてきます。見逃す人も多いため、郵送物に注意してください。企業型DCは給与から控除されます。

中小機構が2023年2月に送る「掛金払込証明書」のイメージ。2023年11月分の「掛金払込証明書」は少しレイアウトが変わる(中小機構の公式サイトから https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/news/2022/mpjnpl0000008q6c.html)

 e-Taxで電子申告しない限り、控除証明書の添付が必要になります。e-Taxの場合、5年間は保存しておく必要があります。

 年末調整のための保険料控除申告書の右下に「小規模企業共済等掛金控除」の申告欄があります。送られてきた控除証明書の掛け金の合計額を記入してください。

 確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に掛け金の合計額を記入してください。第一表の左下と第二表の右上にそれぞれ記入欄があります。

 掛金払込証明書の発送時期については、それぞれ申し込み先で確認してください。

 たとえば、中小機構の場合、掛け金の納付状況で発送時期が異なります。2023年9月までに「現金あり」で加入し、2023年1月~9月までに掛金を納付した人の場合は2023年11月15日~24日です。

 ろうきん(労働金庫連合会)は、iDeCoについて、2022年以前に加入した場合、払込証明書を10月24日に発送する予定です。2023年に加入した人のうち、毎月定額の掛金を拠出している場合は以下の通りです。

初回引き落とし月 発送予定日
2023年1~9月 10月24日
2023年10月 11月24日
2023年11月 12月22日
2023年12月 2024年1月24日

 納付月と金額を指定して掛金を拠出している場合は次の通りです。

新規加入月 発送予定日
新規加入月が1~8月 10月24日
新規加入月が9月 11月24日
新規加入月が10月 12月22日