目次

  1. 夫が入社し、5Sで効率化
  2. プロダクトデザイナーを起用
  3. ブランドの幅を広げる努力
  4. OEMの受注も広がる
  5. 海外の美術館でも高い評価
  6. リーマンもコロナ禍も乗り越えて
  7. アルミ製造からは決してぶれず
  8. 自分らしく生きることが仕事になる

 坂本さんはNECに就職した後、1996年に家業に入りました。花好きが高じて、98年に花器やアクセサリーなどを扱うブランド「ALART」を立ち上げ、東京・銀座の三越百貨店と取引するなど、販路を広げてきました(前編参照)。 

 ALARTを拡大する中で、97年に結婚した夫の勇樹さん(50)が、勤め先のシャープを退職して丸信金属工業に入社することになりました。

 大企業と町工場では、全くやり方が違います。そこで、埼玉県の工場で2カ月半修業してから、入社しました。

 勇樹さんはシャープ時代は営業職でしたが、夜間にデザインの専門学校に通うほど、物作りが好きでした。丸信金属工業では手始めに「5S」を推進しました。

 5Sは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の略称になります。勇樹さんは設備や製作工程を見直し、無駄を減らして効率化しながら、自身も徐々に機械に精通していきました。

 坂本さんは06年、多摩美術大を卒業しデザイン専門学校で講師をした経験もあるプロダクトデザイナーの小泉真二さんから丁寧な手紙をもらい、クリエーティブディレクターとして起用しました。坂本さん、勇樹さん、小泉さんの3人が組むことで、プロダクトのクオリティーとアイテム数が飛躍的に伸びました。

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