目次

  1. 専業を目指し、父が進めた法人化
  2. 雑貨店で過ごした多忙な日々
  3. 東日本大震災が転機に
  4. 1次産業だけでは利益に限界
  5. ブランディングへ、父を説得
  6. 建築家や美術家の力も生かす
  7. 加工場で弁当や菓子も販売
  8. 生産ロスを減らす「サブスク」
  9. 地方発のモデルを目指して

 阿山農産は伊賀市の鞆田地区(旧阿山町)にあります。地下水に恵まれ、朝晩の冷え込みが厳しく、米に程良いストレスがかかり、甘みを蓄えた米が育つ地域です。

 川瀬さんの父・秀隆さんは、建設会社を営みながら、代々この地で米を作ってきました。しかし、若い担い手が減り、地域の耕作放棄地は増加の一途でした。

阿山農産の水田がある鞆田地区(同社提供)

 秀隆さんは「土地と経験をつなげるため、『家の手伝い』ではなく『専業』で成り立つ農業にする必要がある」と考え、07年に立ち上げたのが阿山農産です。現在は従業員7人が在籍し、21ヘクタールもの田んぼで米を作っています。

 主力商品は、伊賀米コシヒカリ特別栽培米(15年から「鞆田のつづみ」として出荷)。減農薬27%以下で、化学肥料を一切使わず、農林水産省のガイドラインよりも厳しい条件で栽培。第三者機関のチェックで、250品目の残留農薬検査を毎年受けています。

 稲の栽培間隔を広く取った「疎植栽培」で風通しを良くし、栄養のばらつきが少ない、高品質な米づくりをしています。

 伊賀牛に良質な飼料米を提供し、堆肥を自社の水田に活用。持続可能な開発目標(SDGs)を意識した循環型農業にも取り組みます。

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