コロナ労災の保険料、事業主の負担増えぬよう厚労省が特例
従業員が新型コロナウイルスに感染して労災と認められた場合に、事業主の労災保険料の負担が増えないようにする特例が設けられます。厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会の部会が2021年11月に了承しました。労災保険とは何か、特例の仕組みについて紹介します。
従業員が新型コロナウイルスに感染して労災と認められた場合に、事業主の労災保険料の負担が増えないようにする特例が設けられます。厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会の部会が2021年11月に了承しました。労災保険とは何か、特例の仕組みについて紹介します。
厚生労働省の公式サイトによると、労災保険とは、仕事中や通勤途中に雇用されている人がケガ、病気、障害、死亡したときに保険給付を行う制度のことです。その費用は、原則、事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
原則として一人でもアルバイトやパートタイマーを含む労働者を雇っている事業主は、すべてに適用されます。
労災保険給付には次のような種類があります。かっこ内は通勤災害です。
事業主が負担する労災保険率は、災害のリスクに応じて、事業の種類ごとに決められています。しかし、同じ事業でも、作業工程や作業環境、各事業所の災害防止努力などで災害率には差があります。
そこで、「メリット制」と呼ばれる制度を取り入れています。メリット制とは、保険料負担の公平性の確保と、労働災害防止を後押しするため、それぞれの事業場の労働災害の多さに応じて、±40%の範囲で労災保険率または労災保険料額を増減させる制度です。
メリット制が適用される時期は、連続する3保険年度の最後の年度の翌々保険年度になります。つまり、2022年度の料率は2018~2020年度が算定期間です。
2020年度の新型コロナウイルス関連の労災の給付実績は全業種合計で6457件に上りました。このうち、59.4%が医療分野で、24.0%が介護分野でした。総額約20億円に上りました。このため、特定の業種だけ保険料の負担が増える懸念がありました。
また、国内での新型コロナの感染者数は約172万人に上りますが、労災認定の申請は約2万人にとどまっており、一部では、従業員の労災認定を認めないケースもあったとみられます。
こうした状況に対し、厚生労働省は従業員が新型コロナウイルスに感染して労働災害と認められた場合でも、事業主の労災保険料の負担が増えないようにする特例を設けることにしました。
厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会の部会に、省令の改正案を提案し、2021年11月26日に了承されました。近く省令が改正されます。
こうした対応は、東日本大震災以来、2度目となります。
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