障害者の働くアパレル工場の理念をTシャツへ 娘婿が「日常」を深掘り
小杉一人
(最終更新:)
高級アパレルの縫製を手がけてきた「新田」の秋本大輔工場長(左、写真はいずれも同社提供)
奈良県広陵町にある高級アパレルの下請けを続けてきた縫製工場で、「社内ベンチャープロジェクト」が始まりました。作りたいものを掘り下げて生まれたのは、障害者がスムーズに着られるTシャツでした。1966年以来、障害者雇用を続けてきた工場の理念を表す商品を発案したのは、現社長の姉の娘婿である現工場長です。外からの人材が親族経営の理念をもとに生み出す新規事業の強みについて広陵高田ビジネスサポートセンターKoCo-Biz(ココビズ)から紹介します。
有名ブランドの下請けを担う新田
奈良県広陵町は全国屈指の靴下のまちとして広く知られており、町内の靴下生産量は国内トップクラス。繊維関連企業も多く、糸から縫製までのすべてを町内で賄うことができるファッションを下支えする地域です。
大小さまざまな企業が地場産業とも言えるファッション関連産業にかかわっているのですが、折からのコロナ不況と長引くアパレル不況のあおりで厳しい状況に立たされていました。
新田の職場の様子
誰もが知る高級アパレルの下請けを続けてきた縫製工場「新田」も例外ではありませんでした。懇意にしているメーカー各社からの受注も減少し、紹介などで来る新規取引先からの注文は20着、30着という少量ばかり。
次の一手が必要な状況に工場長の秋本大輔さんは「下請けからちょっと脱却ベンチャープロジェクト」を考えていました。秋本さんは、異業種から妻の実家の家業である「新田」に飛び込んだ外部人材です。
そんな秋本さんが相談に訪れたのがココビズでした。話し合いを進めるなかで、最終的にまとまった秋本さんの考えはつぎの3点でした。
- 作りたいものを作ってみたい
- 安価な製品には手を出さない
- 障害者雇用を促進させる
この3点に行き着いた経過に新田ならではの紆余曲折とこのプロジェクトにかける意気込みがありました。
ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。
経営者に役立つメルマガを配信 無料会員登録はこちら
この記事を書いた人
-
小杉一人
広陵高田ビジネスサポートセンター長
文化服装学院デザイン専攻科卒業後、イタリアプラダグループなどで営業・販促を担当。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループにて取締役を務め、その後、ソニアリキエルジャポン株式会社の代表取締役を務めるなど約23年間にわたってファッション関係の世界的企業で事業の創業や再生に携わってきた。
小杉一人の記事を読む