目次

  1. 資産を有効活用したレンタルスペース
  2. コロナ禍で受けた打撃
  3. 伝統を守るため職人をサポート
  4. 町屋を次の時代に
  5. 仕事と子育ての両立の秘訣
  6. 右肩下がりの業界でも…

 2016年に家業に戻った後、扇子の骨を使ったルームフレグランスを開発した大西さん。さらなる収益源として18年から力をいれているのが、社屋である京町屋を使った文化体験教室とレンタルスペース業です。

 扇子文化を楽しんでもらうための投扇興(とうせんきょう)体験では、提携しているザ・リッツ・カールトン京都の宿泊客に加え、他のホテルの宿泊客や直接問い合わせのあった客も受け入れています。大西常商店を訪れ実際に投扇興を楽しめるこのプランは、多くの子ども連れや外国人などの観光客を呼び込むことができました。

投扇興の様子(大西常商店提供)

 「投扇興は、京都発祥の江戸時代から続くお座敷遊びです。扇子を的に向かって投げる遊びで、優雅なものだと思われている方も多いのですが、昔は宴席でお酒をかけて争うゲームでした。すごく盛り上がるとても面白いゲームなので、イメージとのギャップも楽しんでいただけたらと思います」

 京町屋のレンタルスペース業は、「普段あまり入れない町屋を使ってもらいたい」という思いからはじめました。中庭や茶室まで揃っている大型の町屋をレンタルできるところは他にあまりなく、アクセスも良いことから、舞妓さんやコスプレイヤーの撮影会、企業の商品撮影など、通年で定期的に使われました。

大西常商店の茶室(同社提供)

 京扇子の売り上げを補うフレグランスの成長や、製造原価のかからない町屋の活用などの挑戦によって、利益率も改善。家業に戻った16年ごろは3%だった経常利益率を、19年には10%にまで上げることができました。

 状況が好転していく中、新型コロナウイルスの影響が大西常商店を襲います。

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