障害者雇用を促進するために設置が認められている特例子会社。クレールは2021年9月、県内で最初に、厚生労働省「もにす認定制度」の認定事業主となった。

 「もにす」は、企業と障害者が「ともにすすむ」という意味を込めて名付けられた制度。2020年4月にスタートした。2021年9月末までに全国の85社が認定されている。日本政策金融公庫の低利融資の対象になるなどのメリットがある。

 クレールは参天製薬滋賀プロダクトサプライセンターの敷地内にある。洗濯機5台と乾燥機3台のほか、高圧蒸気滅菌機を備える。洗濯水は活性炭濾過(ろか)処理をした温水、すすぎの水は不純物を除いた純水を使う。

 洗濯するのは、参天製薬の工場の従業員が着る無塵衣や無菌衣。菌やほこりが付きにくい特殊な作業着という。他の製薬会社や精密機器会社などの作業衣も引き受ける。作業スペースには入り口にエアシャワーがあり、虫やほこりが入らないようにしている。洗い終えた衣類は手作業でたたみ、袋に密封する。無菌衣はさらに滅菌処理をする。

手前の社員は靴下の異物を粘着クリーナーで取り除いている

 社員は県内の養護学校の卒業生が多い。実習に来てもらい、作業を経験してもらって適性を見る。「仕事が正確に、はやくできるように努力します」「広く社会に参加し、自立するための勉強をします」など、5項目の「社員目標」を実行できることが採用の基準という。

 採用後は努力することや勉強することが求められ、アビリンピック(障害者の技能競技大会)に積極的に挑む社員も多い。長谷真二社長(58)は「(社員たちは)まさにプロです。自分たちの技術を高めるためさらに勉強し、後輩にも一生懸命教えています」と話す。

 障害者の雇用拡大を果たすのが会社の役割だ。そのため、親会社と協議し、新たな業務がないか模索している。長谷社長は「彼らがさらに活躍出来る場をつくっていきたい」と意気込む。(2022年1月22日朝日新聞地域面掲載)

クレール

1997年に設立。98年に操業を開始した。無菌衣や無塵衣のクリーニングが事業の中心。このほか参天製薬の工場内で、製造工程の準備や清掃、物品の仕分け、梱包(こんぽう)発送なども手がける。2017年から大阪にも事業所を開設。社長を含めて社員数は36人。うち29人が障害者。