目次

  1. 岡崎市の地場産業の石材 市場は縮小
  2. 4代目が廃棄されている「墓石の端材」に注目
  3. 商品コンセプトを明確化 新ブランドを展開
  4. 納期は半年待ち 開始1年で売上の1割弱に

 愛知県岡崎市は、日本3大石品生産地といわれ、古くから栄えてきました。良質な花崗岩(御影石)が採掘できる日本3大石品生産地(岡崎市、香川県庵治町牟礼町、茨城県真壁町)の一つであり、優秀な石職人をたくさん抱える石製品の街。

 今でも、墓石や石灯籠、石細工など様々な石製品を製造する会社や工場が街中にたくさんあります。

 しかし、石材を取り巻く環境は厳しく、石材市場はこの20年で急激に縮小。2000年に約4500億円だった市場規模は2015年に約2500億円と半減。以降、縮小の一途を辿っており、従来の墓石や石像、灯篭などの需要は減少傾向にあります。

 こうしたなか、岡崎市にある創業94年の稲垣石材店も墓石の製造・販売を主な事業としてきました。これまでの歴史や伝統、技術を存続させつつ、次の100年に向けて「石屋=墓石」だけではない石の魅力を伝える方法を摸索していました。

 2016年に家業へ戻り社業に励んできた、稲垣遼太さん。順調に行けば、今後4代目として事業運営を期待されています。人々のライフスタイルの変化に合わせて「墓じまい」のサービス化や、お墓の統合を「お墓の2世帯住宅」と銘打ち商品展開するなど、創意工夫で新たな展開に取り組んでいます。

家業である稲垣石材店に戻ってきた稲垣遼太さん

 そんな稲垣さんは、墓石を製造する過程で生まれる端材が廃棄されていることに注目しました。端材を利用して制作した、石のお皿をCreema(ハンドメイド、手作り、クラフト作品を販売できるオンラインマーケット)に出品したことがきっかけで神戸のステーキレストランから問い合わせが入り、デザインを決めるところから約1年かけてオーダーメイドの石のお皿を納品。その後も継続した受注に繋がり、可能性を感じたといいます。

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