目次

  1. ティーバッグブランド「t to」のプレスリリース
  2. メディア登場、TVもラジオも
  3. プレスリリースで工夫した「目が留まる」タイトル
  4. コラボ商品の意義は?フィードバックで得られた視点
  5. 社内に起きた変化
  6. プレスリリースを出すときの注意点

 「播磨屋茶舗」3代目の赤松さんは2021年、ミレニアル世代に向けた新しいティーバッグブランド新ブランド「t to(ティートゥー)」を立ち上げました。

兵庫県姫路市で、日本茶の卸・小売業を展開する老舗「播磨屋茶舗(はりまやちゃほ)」3代目の赤松佳幸さん(写真はいずれも播磨屋茶舗提供)

 赤松さんが最初に出したプレスリリースは「心斎橋パルコで、老舗お茶屋の若手後継者が立ち上げたティーバッグブランドがポップアップストアを期間限定でオープン!12月10日から12月12日まで。」です。

 さらに2022年に入って、創業93年の老舗製菓メーカー「佐々木製菓」とコラボレーションしたお茶請けセット「KONPEITTO(コンペイティートゥー)」のプレスリリースも出しています。

 その結果、t toは地元のサンテレビやラジオ局「Kiss FM KOBE」などで紹介されました。プレスリリースがそのまま転載されたWebメディアも30ほどありました。

「t to」のサイトから

 とくに反響が大きかったのが、サンテレビでした。赤松さんは「コロナ禍で観光客が減っているなか、テレビを見て直接お店を訪れる方もいて、新ブランドを知ってもらえるきっかけになりました。商品も1週間で30セットほど売れました」と振り返ります。

 メディア掲載が相次ぐきっかけになったプレスリリースについて、赤松さんは事前にオンラインサロン「アトツギU34」で相談していました。そのなかでアドバイスを受けて、次のような工夫をしていました。

  • 「後継ぎ」や「新ブランド」以外の切り口を見つける
  • 分かりやすくテーマごとにパラグラフを分ける
  • 写真を多めに配置する
  • 取り組みの意義をきちんと説明する

 たとえば、最初に出したプレスリリースのタイトルの冒頭は、企業名でも、新ブランド名でもなく「心斎橋パルコ」でした。2本目は「TVやWebメディアで話題!」としました。

 その理由について、赤松さんは「プレスリリースをパッと見た瞬間に目がとまるワードを考えました」と話します。メディアが日々、大量に送られてくるプレスリリースに目を留めるのは一瞬です。

 そこで、新ブランド名をあえてタイトルから外し、メディアに取り上げられる意義を打ち出しました。そのほか、写真やテーマごとにパラグラフを分けるのは読みやすさを意識した構成にしています。

 2つ目のプレスリリースは、佐々木製菓の金平糖とのコラボ商品を紹介する内容でした。佐々木製菓が金平糖に合わせるお茶請けを探していたときに「t to」に出会い、コラボ商品が生まれました。プレスリリースは、そんな関西の老舗企業の若手後継者の2人がつくったミレニアル世代のためのお茶請けセットを紹介する内容です。

 U34で、プレスリリースにアドバイスした一人が、ファミリー向けイベント・販促景品の卸売を手がける「堀商店」(名古屋市)の堀新太郎さんです。

 プレスリリースは当初、商品の特徴を淡々と説明する内容でした。これに対し、堀さんが読んで気になったのは、なぜこの2社のコラボだったのか、でした。

 「播磨屋さん目線であれば、なぜ合わせるお茶請けが金平堂だったのか。逆もしかり。コラボの経緯説明が必要かも」とフィードバックしました。「たしかに自分のなかでもあいまいだった」と感じた赤松さん。実際に出したプレスリリースに次のようなコメントが追加されました。

【コラボの背景】t toの思い

 「急須でお茶を入れたことがない若い世代にも、お茶の美味しさを今のライフスタイルに合った形で届けたい」という想いがあります。それは、お茶を飲んでほっとする瞬間や、お茶を飲む事が楽しみだから毎日ちょっと頑張れる、というように生活にハリを与えたいからです。

 金平堂さんの商品は、今まで食べたことのない新食感の金平糖です。これなら金平糖になじみのない方たちにも楽しんで食べてもらえるし、きっと食べることを考えただけでワクワクしてもらえるはず!と思いました。

 t toの思いと共通する部分がとても多く、デザイン性も親和性が高いので、ぜひコラボさせて頂きたいと思いました。今後もいろんな形でコラボ商品を作れたらと思っています。

PRTIMES

 プレスリリースを通じて、メディアに取り上げられ、店舗に買いに来る人が増えたことで、社内でもポジティブな変化が生まれたことを、赤松さんはツイートしています。

 ただし、プレスリリースには注意点もあります。プレスリリースには、メディア向けに連絡先を書き入れます。その結果、赤松さんのところにも「うちのサイトで紹介したい」というWebメディアを名乗る電話があったそうです。

 こうした連絡に対し、赤松さんは、掲載予定のサイトを確認し、営業色が強いと判断した場合はその場で断ったといいます。中小企業に対し「無料の取材」を名乗って、後日、掲載料など様々な名目で費用を請求する場合があります。事前にきちんと調べましょう。