目次

  1. 遠距離恋愛の末に 妻の家業を事業承継
  2. 売上高が11年で半減 従業員は大量退職
  3. 赤字脱却掲げ事業承継
  4. 価格交渉するうえでの3つの作戦
  5. 価格交渉の先に目指す新規事業

 元々は自然豊かな土地で仕事がしたくて、山小屋やスキー場、離島などで働いていた江崎さん。スキー場で知り合い、遠距離恋愛を続けていた女性の実家に挨拶に行くことになって、家業が大光紙工だと知らされます。

 当時、大光紙工の後継者は決まっていませんでした。義父からは「継がなくても結婚を祝福したい」と言われました。ただし、継ぐ人がいなければ廃業するかもしれません。

 江崎さんは、このとき心に引っかかるものがあったといいます。1カ月悩んだ末、「自分にしかできない仕事にチャレンジしたい」と大光紙工を継ぐことに決めました。2008年の事でした。

 大光紙工は、片面段ボールに印刷できる板紙を貼り合わせる合紙を得意としています。創業以来、堅実な経営で元々の財務基盤はしっかりしていました。

段ボール合紙とは片面段ボールに印刷できる紙を貼り合わせたもの

 しかし、入社してわかったのが、経営が徐々に厳しくなっている現状でした。多品種少量生産の仕事が増える一方、発注元が新規顧客を獲得するために期間限定で引き受けたはずの「得値(特別価格)」が常態化。さらに、段ボールのもととなる原紙ものりも、ボイラーの燃料も値上がりしていました。

 そんななかで江崎さんが3代目事業承継した2019年、売上高はピークだった2008年の約半分にまで落ち込んでいました。

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