目次

  1. 作りたい人があっての技術
  2. 将来のための「筋トレ」
  3. 本の販売サイトもイベントも
  4. 「頼めばなんとかなる」という価値
  5. 既存事業と新規事業のシナジー
  6. 新規顧客で落ち込みを補う
  7. 印刷を人を喜ばせるツール
  8. 「当たり前」の基準を上げて

――お二人が作り手と手がけたデザイン性に凝った制作物について、代表作を教えて下さい。

 藤原章次さん(以下、章次):最初のターニングポイントは、2012年、当時現役大学生だった島崎賢史郎さんが創刊したファッション誌「N magazine」の2刷目の受注です。教育系や法律系の硬い内容のモノクロ印刷が主体だった藤原印刷が全ページフルカラーに取り組みました。

 島崎さんのことはツイッターで知りました。「創刊号1刷目のカラー印刷の品質に満足できなかった」という島崎さんにDMを送り、「初版と同じデータをもとに藤原印刷で2刷を受注したら必ずきれいに印刷できる」と説得しました。

 当時の藤原印刷では、印刷物をお客様が望む色調にできるプリンティングディレクターの新規採用や、カラー印刷が得意な職人が育っていたことなど、主流事業以外の環境が整っており、受注につながりました。

左は初版、右は藤原印刷が手がけた2刷目の「N magazine」創刊号

藤原隆充さん(以下、隆充):13年には雑誌「NORAH」の創刊に関わりました。NORAHは本文16ページずつ紙を変えています。さらに、作る部数の半分ずつで使う紙の順番を変えているため、デザインは同じでありながら、紙が違う2パターンができあがります。表紙は6種類の紙を使うことで計12パターンの雑誌になります。

合計12パターンがある雑誌「NORAH」(写真は第3号)

 国連大学前でファーマーズマーケットを運営していた会社の代表・黒崎輝男さんからの「中身の紙を1枚ずつ変えた雑誌をつくりたい」という要望に応えたものでした。ただ、1枚(2ページ)ごとに変えるのは、お金も時間もかかるため、その代わりに提案して実現しました。

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