53年前の1969年6月10日、経済企画庁(現・内閣府)が、日本の前年のGNP(国民総生産)が51兆920億円(当時1490億ドル)だったと発表しました。 

当時の朝日新聞では、「50兆円台を越す 西独抜き西側で2位 昨年の国民総生産」の見出しで日本の経済成長を伝えています。

朝日新聞東京本社発行の1969年6月11日付朝刊

記事では、日本がGNPで西ドイツを抜き、当時の共産圏を除く自由経済圏のなかでアメリカに次ぐ「世界2位」になったことや、世界ではアメリカ、ソビエト連邦(現・ロシア)に次ぐ規模になったと推定されることに触れています。 

 

GNPは「国民」が一定期間内に生産したモノやサービスの付加価値の合計額。

日本企業の国内での生産活動に加え、海外拠点で生産した価値も含みます。

内閣府が入る庁舎=2021年2月、東京都千代田区、朝日新聞社

しかし、近年はGNPという言葉をあまり聞かなくなりました。なぜでしょうか。

 

GNPは1993年まで国の経済規模を表す代表的な指標でしたが、経済や社会のグローバリゼーションや情報化の進展などの影響で、国連は新しい国民経済計算の体系を採択しました。

その結果、GNPという概念はなくなり、同様の概念としてGNI(国民総所得)が導入されました。

また、日本の景気を測る指標として、現在は国内の景気をより正確に反映する指標としてGDP(国内総生産)が重視されています。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年6月10日に公開した記事を転載しました)