10年前の2012年5月22日、東京都墨田区に東京スカイツリーが開業しました。

ライトアップされた東京スカイツリー=2020年12月、朝日新聞社

高さ634メートルのタワーは、いまや東京を代表する観光名所。

コロナ禍で観光客はすっかり減ったとはいえ、展望台からの眺めはもちろん、夜は美しくライトアップされた姿は変わらず、遠くからでも楽しむことができます。

「634メートル」という高さは、かつて東京一帯の地域をさした「武蔵(むさし)」という地名の語呂合わせにちなんでいます。 

9年前の開業初日は、展望台も地上も大勢の人でにぎわいました。 

2012年5月22日付朝日新聞夕刊(東京本社版)

スカイツリーは、東京の民間放送局やNHKが使う電波塔として建設が計画されました。 

以前は東京タワーのアンテナから電波を送っていましたが、都心には200メートル級の超高層ビルが次々とそびえ立ち、ビルに遮られて電波が届きにくくなるという心配が出てきたのです。 

そこで、在京の民放5社とNHKは安定した電波を広く届けるため、600メートル級のタワー構想を打ち出しました。

誘致に名乗りをあげた各地の中から、東京都墨田区の東武鉄道の貨物ヤード跡地に建設することが決まりました。 

 

スカイツリーは強い地震や風で傾かないように、構造や地中の杭などにさまざまな工夫がされています。 

2011年3月の東日本大震災の時は、まだ建設中でしたが、資材がぶつかって壁に傷がついたものの、塔の構造そのものに被害はなかったそうです。 

展望台は、天望回廊(450メートル)と天望デッキ(350メートル)の二つ。 

多くの人でにぎわう東京スカイツリーの天望回廊=2012年5月、朝日新聞社

東京タワー(東京都港区、333メートル)の頂上より高いところから、都心のビルや東京湾はもちろん、天気が良ければ富士山を眺めることもできます。  

東京スカイツリーの向こう側にうかがえる富士山=2020年5月、朝日新聞社

平成から令和、そして、さらに未来へ。 

首都・東京を象徴するランドマークとして、これからもずっと、大都会の移ろいを見つめ続けていくことでしょう。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年5月22日に公開した記事を転載しました)