【1月6日は何の日】22年前、中央省庁再編で1府12省庁に
「10年前にこんなことが…」「あのサービスは20年前から?」。ビジネスシーンの会話の“タネ”になるような、過去に社会を賑わせた話題を不定期で紹介します。
「10年前にこんなことが…」「あのサービスは20年前から?」。ビジネスシーンの会話の“タネ”になるような、過去に社会を賑わせた話題を不定期で紹介します。
22年前の2001年1月6日、1府22省庁あった中央省庁が1府12省庁に再編、統合されました。この再編を経て、
大蔵省→財務省
総務庁、郵政省、自治省→総務省
通商産業省→経済産業省
厚生省、労働省→厚生労働省
運輸省、建設省、国土庁、北海道開発庁→国土交通省
文部省、科学技術庁→文部科学省
になるなど、名称変更とともに新体制が始まりました。
なぜ中央省庁は再編されたのでしょうか。
2000年12月1日に閣議決定された「行政改革大綱」によると、当時の省庁再編の考え方として
「高い視点と広い視野からの政策立案機能を発揮させ、縦割り行政の弊害を排除するため、大括り再編成を行うこととしており、再編後の新府省においては、組織統合のメリットを十分に発揮することが必要である」
行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)[抜粋]
としています。
また再編を通じて、「窓口の一体化による利便性の向上など行政サービスの質的向上も推進」「重複・競合している事業・サービスの整理を図る」ことも目的としていたようです。
再編の約1カ月前、2000年12月6日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)では「省庁再編 何のため」という見出しで中央省庁の再編について解説しています。
記事内では再編の一因について、「制度疲労を起こした行政システムを改める」として
「建設、運輸、農水の3省がこの夏に出した来年度予算の概算要求で、道路、港湾、農村整備といった分野ごとのシェア(占有率)は例年どおりだった。もう20年近く、ほとんど変わらない。時代の変化に合わせて予算の配分が変化して当然なのに固定されているのは、省庁の縄張り意識が強いためだ。ここの大型公共事業をみても、1度計画されれば地元が反対しても途中でやめにくい」
2000年12月6日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)
と紹介し、そのような無駄が積み重なった結果、財政赤字が増え、再編につながったと解説しています。
中央省庁の再編は当時の人々にどのように映っていたのでしょうか。
省庁再編から約2週間後の2001年1月23日付の朝日新聞には、電話による全国世論調査の結果が掲載されています。
副大臣や政務官のポストを新設し、官僚中心の行政から「政治主導」への転換を意図していた省庁再編でしたが、「中央省庁の再編によって政治は変わる」と答えた人は13%にとどまり、78%の人は「政治は変わらない」と答えた、と掲載。好意的な見方をする有権者は少なかったようです。
2021年の自民党総裁選では、岸田文雄首相(当時前政調会長)をはじめ、各候補者が中央省庁の再編案を打ち出しました。
2021年9月26日付の朝日新聞朝刊によると、当時行政改革大臣だった河野太郎氏は厚生労働省の分割を主張。
厚生、労働の旧2省の統合で生まれた厚労省は担当業務が幅広く、コロナ対応でさらに仕事量が拡大。河野氏はテレビ番組で、厚労省を医療分野と労働・年金分野に分割するか、特命担当大臣をもう1人置く私案を披露した。そのうえで、目玉政策である基礎年金の見直しなど、社会保障改革を進めると訴えている。
2021年9月26日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)
一方、岸田氏は
「単に分ければいいというものではない」と河野氏の分割案とは一線を画す。自らは感染症対応の司令塔として強い権限を持つ「健康危機管理庁」の新設を掲げる。
2021年9月26日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)
としていました。
しかし、2021年10月31日投開票の衆院選で、「健康危機管理庁の創設」は自民党の公約に盛り込まれませんでした。
中央省庁の再編の必要性について、前出の朝日新聞朝刊(2021年9月26日付朝刊)で藤田由紀子・学習院大教授は「再編にはコストもかかる。それを上回るメリットがあるのか長期的な視点から冷静に検証すべきだ」と指摘しています。
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2022年1月6日に公開した記事を転載しました)
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