目次

  1. 「嫌々だった」農業に魅力を感じて
  2. 祖父の名前を冠した農園に
  3. 一から学んだ農業
  4. 傷だらけになりながらの作業
  5. 魅力を伝える「夕焼けレストラン」
  6. ゆずの加工で可能性を広げる
  7. 他分野とのコラボが生まれる理由
  8. 加工所兼店舗をオープン
  9. 農業の価値を高めるために
  10. 誠実であれば応援してくれる

 金沢市郊外の浅川地区にある「きよし農園」。多田さんは約2.8ヘクタールの土地で、ヘタ紫なすや金沢ゆず、太くてやわらかく甘みのある「しろねぎ」を中心に5品目を作っています。年間生産量は平均で金沢ゆず8トン、ヘタ紫なす5.3トン、しろねぎ5トンに及びます。

 多田さんを訪ねたのは3月末。近くの浅野川は雪解け水で流れが早く、一帯には日差しが注ぎ、里山の春らしさを感じる日でした。冬のしろねぎの作業が一段落し、ゆずの木の剪定やヘタ紫なすの畑の準備が始まっていました。

 祖父・田中清さんは兼業農家で、ヘタ紫なすと金沢ゆずの生産に力を入れていました。多田さんも子どものころから、繁忙期には畑の手伝いに駆り出されましたが、当時は「嫌々だった」と言います。

 そんな多田さんは高校中退後にお好み焼き屋でアルバイトをしていた10代のころ、休みの日に畑の手伝いをしたのをきっかけに農業に興味を持ちました。

 当時、多田さんの身の回りの仕事では合理化や機械化が進んでいました。「この先、世の中も職業も変わっていくんだろうな」と漠然と感じていたとき、畑を手伝いながら農業の可能性を強く感じました。

 「農業は食を支え、生きていくために必要な職業。機械化が進んで世の中が変わっても農業だけはなくならないし、なくしちゃいけないと感じました」

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