お金が貯まる人になる簡単な「秘策」とは? 貯蓄口座の使い分けがポイント
ファイナンシャルプランナー歴25年超の深田晶恵さんが20、30代に向けて「今のうちに」知っておきたいお金の知識を伝授します。今回のテーマは、お金が貯まる人になるために知っておきたい「秘策」についてです。
ファイナンシャルプランナー歴25年超の深田晶恵さんが20、30代に向けて「今のうちに」知っておきたいお金の知識を伝授します。今回のテーマは、お金が貯まる人になるために知っておきたい「秘策」についてです。
今回は、「確実にお金が貯まる人」になるためのちょっとした秘策をお伝えしたいと思います。
とても簡単なことなのですが、その秘策を知らない人は多いです。お金のことは知らないだけで損してしまうことがたくさんあります。
今回お伝えしたいことは、
「貯めるための口座を1つではなく、2つ作ること」
です。1つの口座は「将来のために絶対手をつけない貯蓄」、もう1つの口座は「1年以内に使ってもいい貯蓄」とします。2つの口座の使い分けは、次のようなイメージです。
1つは、なるべくおろさない、解約しない貯蓄の位置づけです。「雪だるま貯蓄」と覚えておきましょう。雪だるま貯蓄は、毎月のお給料やボーナスから「積立貯蓄」で貯めていきます。
毎月定期的に積み立てをしていくと、雪の塊を転がして雪だるまが大きくなるように貯金額が増えていきます。この雪だるまは、よほどのことがない限り、取り崩さないものと覚えておいてください。
勤務先に財形貯蓄制度や社内預金があるなら、ぜひ利用しましょう。給与天引きで貯めるのが理想的です。
そうした制度がない場合は、お給料が振り込まれる銀行で自動的に積み立てできる定期預金を作ってください(自動積立定期預金といいます)。
店頭に行かなくても、インターネットバンキングやメールオーダー(郵送用の申込書)で口座開設ができます。なかにはATMで自動積立定期預金を作れる銀行もあります。
もう1つは、近いうちに使う予定のあるお金を「取り分けておくための口座」です。本当の意味での「貯蓄」ではなく、「1年以内に使う予定のある一時的な支出」を取り分けておくための貯蓄です。
たとえば、数カ月先に友人の結婚式に招待されていてご祝儀や2次会の会費が必要だったり、同じ時期に複数カップルから結婚式に招かれたりすると結構な出費になります。旅行や帰省費用もまとまった額の出費ですね。
今はコロナ禍で、2次会や旅行に行くことはかなわないかもしれませんが、徐々に日常生活が戻った時に発生する支出です。
こうした「一時的な支出」は、ボーナスから出す人が多いでしょう。ボーナスが出た月に友人の結婚式や旅行が集中するわけではなく、数ヵ月後かもしれません。
ただ、いつまでもボーナスを給与振込口座に置いたままにしておくと、何となく使ってなくなってしまう心配がありますね。ですから、取り分けておきましょう。それが「1年以内に使ってもいい貯蓄」です。
貯蓄口座が1つで、ボーナスをその口座にすべて貯蓄してしまうと、結婚式への出席や旅行に行くごとに、将来のために手をつけないはずだった財形貯蓄や積立定期預金を崩してしまうことになります。貯まっては使い、貯まっては使いを繰り返していくと、まとまったお金はなかなか貯まりません。
先ほど、将来のために手をつけない貯蓄は「雪だるま貯蓄」といいました。雪だるまは簡単に崩してはいけないので、次のボーナスまでに使う予定のあるお金は「一時的な貯蓄」としてよけておきましょう。
そこで「一時的な貯蓄」を管理するために「サブ口座」を作りましょう。給与振込口座がメイン口座です。「将来のために絶対手をつけない貯蓄」は、給与天引きかメイン口座から自動積立定期で貯めます。
ボーナスのうち、使う予定のあるお金を「サブ口座」に移して、使っていきます。このように口座を使い分けると、「絶対手をつけない貯蓄」を崩さずに済み、雪だるま式に増えていくのです。
一時的な貯蓄の「サブ口座」は、給与が振り込まれるメイン口座のある銀行で、同じ名義の口座で作るのがポイントです。
同じ銀行で同じ名義人の口座は「振替(ふりかえ)」という機能を使って、預金を無料で移動させることができます。「振替」機能は、ATMにもネットバンキングにもあります。
ボーナスが出る前に支給額がおおよそわかったら、使う予定のある支出を見積もって、「貯蓄する分」と「使う分」に予算分けします。
たとえばボーナスの手取り額が40万円で、そのうち20万円を「絶対手をつけない貯蓄」として貯めると、メイン口座に残るのは20万円です。20万円をメイン口座に長く置いておくと「何となく目減り」してしまいますから、すみやかに「サブ口座」に振替機能で移しておきます。
ボーナスから使う予定のある支出は、サブ口座から現金を引き出します。また、旅行代金や電化製品などの買い物代金をクレジットカードで支払った場合は、利用代金の引き落とし日の前に「サブ口座」からカードの決済口座である「メイン口座」に「振替」をして戻しておけばいいのです。
ボーナスから先取り貯蓄をし、使い道の決まっている残りのお金をサブ口座で管理すると、ボーナスを計画的に「貯めて、使う」ことができますし、家計管理に自信がつくというおまけもついてきます。
注意したいのは、同じ銀行で複数口座を持とうとすると、窓口で「ひとり原則1口座まで」と言われるケースがあることです。振り込め詐欺が多発していることもあり、銀行は口座売買防止のために新規口座開設に慎重になっています。
メイン口座のある銀行に「貯蓄預金」という商品があれば、それを「サブ口座」にするといいでしょう。取り扱いがない銀行なら、家計管理や会社の経費精算のためにもう1つ口座がほしいと窓口で伝えてみてください。銀行によっては、同じ支店で普通預金を2つまで開設できるところもあります。
メイン口座は「日常生活で使うお金」、サブ口座は「1年以内に使う予定のある一時的な貯蓄」、財形貯蓄や自動積立定期預金は「将来のために絶対手をつけない貯蓄」と位置づけて管理すると、お金を上手に使いながら、お金が貯まる人になることができます。ぜひ試してみてください。
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年9月24日に公開した記事を転載しました)
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