目次

  1. タイムカードでイノベーション
  2. 「自前主義」を貫く
  3. 大企業のニーズにきめ細かに対応
  4. 拭えなかった「もやもや」
  5. 発売中止を社員にわびる
  6. ダイソンを参考に「再発明」
  7. 職場に笑顔を作る機能
  8. 5500社以上に広まる
  9. 「メールアカデミー」で新たな気づき
  10. 「ワクワク」を生み出す風土

 イノベーションは、中小企業経営者にとって最も魅力的な言葉のひとつです。ヤマト運輸の「宅急便」が宅配便の代名詞となったように、イノベーション企業はその名前や商品名が業種や業態を表すブランドになり、顧客から長く愛されるからです。

 勤怠管理のタイムカードでイノベーションを実現したのが、名古屋市のIT企業ネオレックスです。社員数は50人。主力商品はクラウド勤怠管理システムです。

 大企業向けの「バイバイタイムカード」は、西武鉄道グループをはじめ、IKEA、アディダス、ロクシタン、餃子の王将など多くの採用実績があり、従業員3千人以上の企業のシェアで3割強を誇ります。中小企業向けには、iPadでできる勤怠管理アプリ「タブレット タイムレコーダー」を開発しました。

 ネオレックスは創業者の駒井俊之さんが1987年に設立しました。現在は俊之さんの長男で2代目社長の拓央さん(50)が主に営業を、次男でCEOの研司さん(48)が開発と管理を担当しています。

ネオレックス社長の駒井拓央さん(右)とCEOの研司さん

 一般に小規模なIT企業は他社の仕事を受託したり、他社に開発を委託したりしています。しかし、同社は委託仕事は一切受けず、外注もしません。自社で企画した商品を自ら開発・販売し、アフターサービスも行う「自前主義」を貫いています。

「タブレット タイムレコーダー」では打刻時に顔写真の撮影ができます

 これまでのタイムカードは出退勤時に専用のカードを通し、打刻するだけの無機質なものでした。同社ではiPad専用アプリを開発し、出勤時に顔写真を撮影したりビデオメッセージを残せたり、利用者がワクワクするようなタイムカードを実現しました。ヒットの陰には、後継ぎ兄弟の挫折や社員の創造力をかき立てる仕組みがありました。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。