仕入管理とは?業務の流れや課題、改善に役立つソフト2つを紹介
売上・利益につながる商品・部品・原材料の数・量を適切に把握し仕入れられなければ、機会損失が発生し、売上・利益を得られません。そこで重要となる仕入管理について、業務目的や流れ、仕入管理ソフト(システム)導入について、中小企業を中心に業務支援をしている中小企業診断士が解説します。
売上・利益につながる商品・部品・原材料の数・量を適切に把握し仕入れられなければ、機会損失が発生し、売上・利益を得られません。そこで重要となる仕入管理について、業務目的や流れ、仕入管理ソフト(システム)導入について、中小企業を中心に業務支援をしている中小企業診断士が解説します。
目次
仕入管理とは、仕入先から届いた商品・部品・原材料などを適切にコントロールすることです。
商品・部品・原材料が不足すれば販売や製造に大きな影響を与えます。売上を得る機会を失うわけですから、企業にとってマイナスです。一方で在庫を過剰に抱えると、保管費用も対応人員も嵩み、利益圧縮の原因となります。
仕入管理をすることは、販売の機会を逃すことなく利益を最大化する上で、必要不可欠な業務なのです。
仕入管理は次のような流れで実施します。
以下から具体的に説明します。
商品・部品・原材料を仕入れる時には、必ず見積もり依頼をします。見積もりを依頼する先は、商品・部品・原材料が複数企業から仕入れられる場合は必ず2~3社から見積もりを取りましょう。
見積もり依頼と言うと、初めて取引をする場合や仕入価格が変動する商品を取引する場合に依頼するものだと考える人が多いです。しかし、同じ相手と決まった金額で仕入取引をしている場合であっても、見積もり依頼は重要となります。見積もり依頼を疎かにしていると、仕入れコストを下げられるチャンスを見逃しかねないからです。仕入コストの抑制という観点からも、見積もり依頼はしましょう。
仕入先の候補企業から見積もりが届いたら、見積書を含めた提案内容を内容を確認します。仕入価格だけではなく仕入前後の対応など総合的に判断できたら、仕入先との契約です。複数回に渡って継続的に仕入先との取引が続く場合には、購買契約を締結します。
一度きりの発注をする場合には、見積もり内容に合わせて発注書を作成するだけで終えてしまうことが一般的です。しかし、継続して発注をする場合は仕入企業との間で購買契約を締結します。
購買契約を締結する際には、通常、次のような内容を取り決めます。
購買契約で取り決める主な項目と契約内容例 |
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1. 購買契約の内容 2. 契約期間 3. 機密保持 4. 保証内容 5. 解約条件 6. 支払いの締日 7. 支払い日 8. 支払い方法 9. クレームについての対応 |
購買契約が締結されたら、上記の9項目と仕入先の企業名・連絡先、仕入先コードを仕入先台帳に記載します。
商品・部品・原材料の在庫に補充が必要になると、発注対応をします。一般的には発注書(注文書)を用いて書面で発注します。
発注書(注文書)に最低限記載しておきたい内容は次の通りです。
発注した人の役割は、発注書(注文書)を送付して終わりというわけではありません。発注書(注文書)に記載した納期通りに納入されるかどうかしっかり確認する、といった対応が必要です。
なお、発注を実行する会社の組織規模が大きい場合には、在庫を管理する担当者と、発注する購買担当者が分かれていることもあるでしょう。
その場合は、在庫を管理する担当者が購買依頼書を作成し、購買担当者が発注をするという流れになります。購買依頼書の作成・提出から購買実行まで数日必要な場合がありますので、会社のルールがどうなっているのか、イントラネットなどを見て事前に確認しましょう。
発注した商品が入庫した際には、入庫をした事実だけではなく、入庫内容について必ず検品をします。
検品する際の確認事項は次の通りです。
これら4つの事項が守られていることを確認して受領書に確認印を押すことで、仕入れは完了します。仕入れた商品・部品・原材料の所有権が発注企業へと移動します。
仕入れ時にしっかりと検品し、その内容を書面に残し企業間で確認をすることは、仕入時にトラブルが生じた場合にも役立ちます。どちらの企業の何が悪かったのか証明できる資料になるからです。
検収が完了したら次に仕入伝票を作成します。一般的には仕入れ担当者が仕入伝票を作成しますが、発注を実行する会社の組織規模が大きい場合では購買担当者が仕入伝票を作成します。仕入伝票の主な記載項目は、次の通りです。
この仕入伝票が経理担当者へと渡ると、経理担当者は仕入伝票を元に仕入取引を買掛金として帳簿に記帳し、仕入れた商品・部品・原材料を商品有高帳に記録します。ここまで完了して初めて、仕入れた商品・部品・原材料は発注を実行した会社の在庫として管理されることになります。
その後、購買契約で締結された支払い条件に合わせて、支払いが実行されます。帳簿上の処理が完了しないと支払いができず、支払い遅延に繋がります。仕入れた商品・部品・原材料の支払い完了を見届けるところまでが仕入管理です。
仕入管理は、企業業績にかかわる重要な業務のひとつですが、多くの企業が次のような課題をよく抱えています。
紙やエクセルデータを使い、手作業で仕入管理を行っている企業にありがちな課題です。
仕入れ業務において、手作業が多いと発注ミスや仕入ミスが発生しやすくなります。たとえば、ある企業では4と9の判読ミスが発生して仕入数量の相違が起き、結果として返品できないか企業間で対応協議をすることにならざるを得なかった、ということがあります。
仕入れた商品・部品・原材料を使う拠点が複数あるなどで業務の煩雑さが増すと、特定の担当者による対応でカバーしようとしがちです。
しかし、特定の担当者でなければ対応できないとなると、問題が生じた際に企業が大きな損失を受ける可能性もゼロではありません。
実際、こうした業務の属人化が解消できず、「支払いがされていないけれど、どうなっているのか」という問い合わせがあったときに経理担当者だけで迅速に対応できなかったために、結果として継続予定だった契約が単発契約となってしまったケースがあります。
仕入管理をする方法は様々ありますが、筆者としてはソフト(システム)を導入した上で仕入管理をすることをおすすめします。
次のような導入メリットがあるからです。
いずれも、企業と従業員の双方にメリットがあります。仕入管理のソフト(システム)導入をぜひ前向きに考え、実行してみてください。
仕入管理をするソフト(システム)を選ぶ際には、次の5項目を中心に比較検討しましょう。
仕入管理ソフト(システム) を導入する際には、どのような人が何人でどのような業務ができたらよいのかという点を定義するところから始めます。ここが疎かになると、導入候補となったソフト(システム)が、自社の必要とする機能を有しているのか、その機能に見合った費用なのかどうか、正しく判断できません。
また、仕入管理ソフト(システム)は、インターネットに繋がっている状態で利用するクラウド型と、システム構築されたものをインストールすることで利用するパッケージ型の2つがあります。倉庫の中を移動しながらタブレットで仕入管理したいといった場合にはクラウド型を検討することになるでしょうし、セキュリティ面を考慮するならパッケージ型を検討することになるでしょう。
さらに、業界によっては外国人労働者と一緒に仕入管理をすることもあります。その場合は日本語だけではなく英語にも対応している仕入管理ソフト(システム)を検討出来たほうが、仕入管理ソフト(システム)を導入しやすくなるでしょう。
現在、世の中には多くの仕入管理ソフト(システム)があります。筆者が特におすすめしたい仕入管理ソフト(システム) は次の2つです。
次から具体的に紹介します。
弥生販売は、会計ソフトの弥生会計と同じ弥生株式会社が発売している仕入管理ソフト(システム)です。
弥生販売で入力した伝票を基に仕訳を作成し、弥生会計に転送できます。弥生会計側との残高を補助科目単位で合わせられるので、業務の属人化防止に繋がります。
ツール名 | 弥生販売 |
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ツールの特徴 | ・担当者が利用した作業内容のログを記録できる ・販売データをリアルタイムで把握できる ・弥生会計側への仕訳転送が可能 ・クラウド型ツール |
ツール利用時の注意点 | 期中で導入する場合には、導入日が期首からどのくらい近いかによって、導入日までの取り引きすべてを記入するか導入日の残高と在庫を入庫するか、初期入力内容が異なる |
ツール利用をおすすめしたい企業 | ・弥生会計を利用している企業 ・POSシステムを使った販売をしている企業 |
費用(税抜き) |
【弥生販売 22 スタンダードの場合】 【弥生販売 22 プロフェッショナルの場合】 【弥生販売 22 プロフェッショナル 2ユーザーの場合】 ※無料体験版あり |
公式URL | https://www.yayoi-kk.co.jp/index.html |
flam(フラム)は低コストで導入・利用できる仕入管理ソフト(システム)です。
使うアカウント数・データ容量・機能によってスタンダード・プロフェッショナル・プレミアムの3コースがありますが、導入時の初期費用は3プランともに0円です。また、スタンダードプランであれば、標準月額利用料が税込み10,230円です。30日使うと考えると1日341円ということになります。
低コストで導入・利用できる上に、利用者がパッと使えるような操作性になっている点も特長です。
ツール名 | flam(フラム) |
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ツールの特徴 | ・業務データが自動でバックアップされる ・ニーズに応じた個別カスタマイズへの対応が可能 ・Money Forwardクラウド会計と連携可能 ・クラウド型ツール ・英語対応あり |
ツール利用時の注意点 | オプションを追加するごとに利用料金が高額になる |
ツール利用をおすすめしたい企業 | ・食品加工をはじめとした製造販売業 ・Money Forwardクラウド会計を利用している会社 |
費用(税抜き) |
初期費用:0円 標準月額使用料 |
公式URL | https://www.flamsv.com/ |
仕入管理の精度は企業の売上・利益に直結します。また、業務のしやすさは従業員のモチベーション向上・離職率低下に繋がります。既存の仕入管理に改善点があるのなら、早めに改善検討を始めましょう。
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