目次

  1. 薬箱を無料で設置、使った分だけ支払い
  2. 祖父の背中を見て薬学部へ?
  3. 引き継ぎなし、突然の事業承継
  4. 27歳女性社長に降りかかる困難
  5. 江戸時代から続く商売、支えるものは
  6. 苦手だけど食べられる不思議なしいたけ
  7. 波乱の20年でも「社長になってよかった」

 全国配置薬協会の公式サイトによると、置き薬の仕組みは江戸時代に富山県で生まれました。各家庭に薬箱を無料で置き、使った分の薬代だけを回収する仕組みです。

 小柳さんの話では、置き薬用の製薬会社が多いのは富山・滋賀・奈良の3県。「ぷちてんぐ」が扱うのは奈良の薬です。

奈良の置き薬メーカーの薬。味わいあるレトロなパッケージが特徴

 長い歴史の中で、冨山と奈良では商売のやり方に差が生まれました。富山の薬屋は、顧客の多い地域に引っ越すことが増えました。一方、奈良の薬屋は、奈良にある自宅を長い間留守にして、遠くの顧客を訪ねる行商を続けたといいます。

 小柳さんの家も代々、奈良に住み、愛知で商売をしてきました。祖父が60代で稲沢市に事務所を構え、代替わりするまで、小柳さんも奈良に住んでいました。子ども時代は祖父に連れられ、一緒に客先に行くこともあったそうです。

 大学では薬学部に進みました。とはいえ、家業を継ぐと決めたから、ではなかったようです。

 「医学部を目指していたのですが、6年間大学に通うのは長いなぁと思ってやめたんです。母の勧めで薬剤師を目指すことにしましたが、家業と結びつけて考えていたわけではありません」

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