目次

  1. 大日本市とは
  2. 大日本市への出展目的
  3. 大日本市の来場者の特徴
  4. 来場者にアプローチできたのか
  5. 大日本市で得た経験
    1. 課題:足止めは積極的に
    2. 課題:POPは見やすい大きさでシンプルに
    3. 良かったこと:立ち止まったあとはしつこく営業しすぎない

 大日本市は、1716年創業の奈良の老舗・中川政七商店が主催する工芸に特化した合同展示会です。公式サイトによると、全国の工芸メーカーと小売店バイヤーが集う場として、約3000人の来場規模に拡大してきたといいます。

 2022年2月に開催された「第8回大日本市」に出展した、兵庫県姫路市の日本茶の卸・小売の老舗「播磨屋茶舗」3代目の赤松佳幸さんに出展で得た経験について聞きました。赤松さんは「同世代にお茶のおいしさを知ってほしい」という思いから、ミレニアル世代に向けたティーバッグの新ブランド「t to(ティートゥー)」を立ち上げました。

-出展目的を教えてください。

 2021年の10月に自社ブランド「t to(ティートゥー)」を立ち上げたばかりで、自力で取引先を増やすことやメディアに取り上げてもらう事は難しいので、大日本市に出展したいと思っていました。

 そのため、出展の目的は、「取引先を増やす」「メディア露出を増やす」の2点です。

-どんな人が来場していましたか?

 大日本市は全国から雑貨店やライフスタイルショップを運営しているバイヤーが多く訪れ、そのほかにもメディア関係者やディベロッパーも来場していました。

 バイヤーの店舗が対象にしている顧客の年齢層は主に30代以上で、大手流通で販売されるものというよりはこだわったものを選びたいという印象でした。

-来場者にはアプローチできましたか?

 展示会に向けた準備では、t toのこだわりや、ブランドのストーリーについて、事前に整理して短い時間でも伝えられるようにしました。また、実際に話しながら反応が良かったことをメモしながら、説明する内容を少しずつ変えました。

大日本市での「t to」のレイアウト

 学んだこととしては、バイヤーさんのニーズです。企画で使用できるものを探している方が多い印象でした。特に20代の購買層をターゲットにしたお店は、短期間(1カ月くらい)の企画を頻繁に開催する店舗があるようです。

-展示会で得た経験とは。

 「ブランドや商品の特徴、”売り”を消費者目線で考え、簡潔にする」ことをとにかく繰り返して改善することだと思いました。それが下記で説明するように、足止めの声掛けや、チラシ、POPの内容に反映されてきますし、結果に直結するのではないかと思いました。

 具体的にシェアしたい経験は次の3つです。

 ブースの前を通る方に、こちらからアプローチして足止めすることができませんでした。せっかくブースを見ているのに足を止めて見てもらえなかった方がほとんどで、もったいないなと思いました。

 たとえば、チラシなど配れるものを作っておく、キラーワードを考え、声掛けで興味を持ってもらうなど、できることはたくさんあったなと思います。

「t to」のチラシ

 商品説明POPには商品の詳細な情報が書いてありましたが、ブランド全体の説明をするものがありませんでした。

 なので、前を通った人が「何のブランドで」「何がウリで」「その根拠は何か」がわかりにくく、立ち止まりにくかったかと思いました。

 逆に良かったと思ったのは、話を聞いてもらったあと、バイヤーさんにしつこく営業しないことです。悩んでいる方にはリーフレットや名刺など渡しして、なるべく気持ちよくその場での会話を切ることを意識しました。

 商談会後に先方からメールを頂き、商談会がきっかけで3社と取引が始まりました。

 赤松さんは大日本市での経験をnoteにも書いています。