目次

  1. 事業を続ける難しさを学ぶ
  2. 先細り感を覚えて
  3. 屋号もパッケージも大胆変更
  4. 希少部位を細分化して販売
  5. 父も応援してくれるように
  6. 「ハレの日」を狙ったギフト商材
  7. コロナ禍で冷凍食品が追い風に
  8. 店舗移転でスパイスを開発
  9. 人とのつながりを大切に

 中谷肉店は1950年、中谷さんの祖父が当時は希少だった和牛専門店として創業しました。中谷さんは幼少期から家業の仕事を見て育ち、次男ながら小学校の卒業アルバムには「肉屋の3代目になる」と書いていました。

 先代の父からは「家業を継げ」とは言われませんでした。でも、公務員になった兄に代わり、家業を継ぐことを念頭に大阪の大学の商学部に進みました。

中谷肉店は創業以来、和牛の質にこだわってきました(同店提供)
中谷肉店は創業以来、和牛の質にこだわってきました(同店提供)

 2001年の大学卒業後は一度家業に入り、群馬県の食肉専門学校で基礎を学び直しました。再び家業に戻った中谷さんの最初の仕事は、病院食として納める食材の切り分けでした。

 「鶏肉30グラムを300個切り分けるといった単純作業をとことんやりました。豚1頭を仕入れて骨を外す作業など慣れるまでは大変でしたが、小さい頃から見ていた仕事なので、抵抗はなかったです」

 家業に入った00年代初頭は、牛海綿状脳症(BSE)問題で国産牛肉が全く売れず、廃業を覚悟した時もあったといいます。「商売には予期せぬことが起こる」。事業を続ける難しさを学びました。

 当時の店は近所の常連客が付いていたものの、高齢化で顧客は年々減る一方。中谷さんは常に危機感を抱えていました。

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