名刺の作り方5選 自作・外注のメリット・デメリットと手順を解説
事業立ち上げをはじめ、ビジネスに新しい展開がある場合、今まで使っていた名刺が使いにくいというケースがあります。この記事で、ビジネスに合った名刺を簡単に作る5つの方法と作成の手順を、中小企業や起業したての創業者を中心に支援をしている中小企業診断士が一からわかりやすく解説します。
事業立ち上げをはじめ、ビジネスに新しい展開がある場合、今まで使っていた名刺が使いにくいというケースがあります。この記事で、ビジネスに合った名刺を簡単に作る5つの方法と作成の手順を、中小企業や起業したての創業者を中心に支援をしている中小企業診断士が一からわかりやすく解説します。
目次
名刺は、自分はどこの会社で何をしている者なのか、また、自分がアピールしたい商品・サービスは何なのか、端的に他社に伝えることができるツールです。名刺に使われる言葉やデザインひとつで、自社や自社の扱う商品・サービスイメージは大きく変わります。名刺はいわば、営業活動をするうえでは欠かせない、営業ツールなのです。
一方で、営業に必要だからと名刺へのこだわりが強すぎると、名刺作成に時間や費用がかかりすぎる危険性があります。本来やらなければならない案件獲得がおろそかになっては本末転倒です。
効果のある名刺の作り方を知っておくことで、無駄な時間や費用をかけることなく、営業ツールとして理想的な名刺を作り上げることができるでしょう。
名刺にはさまざまな作り方がありますが、まずは、自分で作るのか・外注するのか、パソコンで作るのかスマートフォン(スマホ)で作るのか、一度きりの印刷なのか何度も印刷する必要がありそうなのか、使える費用はどのくらいなのかといった点を考えます。
現在、パソコンで名刺を作れるアプリやソフトをインターネット上で簡単に見つけられるようになりました。さらに、最近では、スマートフォンやタブレットでも簡単に名刺を作れるアプリやサービスが増えています。実際、パソコンに限らず、スマートフォンやタブレットで、多種多様なデザイン性のある名刺を無料で作ることもできるようになっています。
実際にはどのような名刺の作り方があるのでしょうか? まずは、代表的な方法とそのメリット・デメリットを下表にまとめたのでご覧ください。
名刺の作り方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
Wordのテンプレートを使って作る | ・慣れたソフトを使うためスムーズに作れる ・自社のプリンターで作れるため、名刺作成の経費を抑えられる |
・デザインのバリエーションは少ない傾向にあるので、個性を出しにくいことがある ・名刺を印刷する専用の用紙を別途準備する必要がある |
無料のテンプレートを使って作る | ・デザインが豊富なので作成したい名刺のイメージを実現できる可能性が広がる | ・パソコンにインストールされているソフトによっては使えないものがある |
無料の名刺作成ツールを使って作る | ・完全オリジナルに近い名刺を作ることができる | ・デザインに凝ることができる分、名刺作成に時間がかかることがある |
名刺作成アプリを使って作る | ・スマートフォンだけで手軽に名刺を作ることができる | ・指先もしくはタッチペンでの操作になるため、細かい作業がやりにくい |
印刷会社に依頼する | ・社内のオフィスプリンターより高品質な印刷仕上がりが期待できる ・名刺を印刷する用紙の用意や印刷する手間が省ける |
・印刷代や配送代が必要になる |
以下、具体的に説明していきます。
パソコンを使っている人であれば、ソフトの一つとしてMicrosoftのWordというソフトがインストールされているのではないでしょうか。普段からWordを使い慣れているということであれば、自分で簡単に名刺をデザインし、作ることができます。
また、Microsoft Officeの公式サイトには、無料で使える名刺テンプレートが紹介されています。
ビジネスで使えるシンプルな名刺デザインのものはもちろん、商品・サービスの写真やロゴを入れられるようなデザインもあるので、実際に使ったり、名刺デザインの参考として見たりするのも良いでしょう。
無料の名刺テンプレートを提供しているサイトを使って名刺を作るという方法があります。パソコンにインストールされているソフトの内容によって、使えるファイル形式と使えないファイル形式があるので、注意が必要です。
ビジネスの場面で使いやすいデザインが多く揃っています。筆者の支援先でも、Wordで数枚だけ名刺を作りたいという場合にbrotherを使っている企業は多いです。
Adobe Illustrator(イラストレーター)を使い慣れていない人にとって、イラストレーターで名刺を作るには複数のコツがあるので気苦労が多いものです。しかし、名刺良品には、WordやPowerPointはもちろん、イラストレーター用にもテンプレートが用意されているので、便利です。
オリジナル性の高い名刺を作りたいということであれば、名刺作成ツールを使ってみてください。
筆者のおすすめは、SNS向けの画像加工ソフトとしても有名なCanvaです。無料のテンプレートはもちろん、多種多様な写真素材、イラスト素材、フォントがつかえるので、オリジナリティのある名刺を作ることができます。
名刺を自分で作ろうとすると今まではパソコンを使った名刺作成が主流でした。しかし、最近では、スマートフォンやタブレットを使って名刺作成ができるようなアプリが増えています。
筆者の周りで多く使われている名刺作成アプリは、かんたん名刺です。テンプレートが豊富なだけではなく、スタンプを使って名刺をデコレーションできるので、Canvaとはまた異なるオリジナリティ溢れる名刺を作ることができます。
名刺デザインはもちろん、名刺を作る費用や時間を考慮した結果、自分で名刺を作るのではなく印刷会社に外注するという方法もあります。
アドプリントは、事前手続き不要で掛け払いができるということもあり、利用者が多くいます。
また、大手印刷会社の子会社であるクエストデザインのパンフレット制作.jpは、対応がきめ細やかで、パンフレットやポスターと一緒にデザインから名刺をお願いできるケースがあるという、知る人ぞ知る印刷会社です。
ここからは、実際に名刺を作るときの手順について説明します。
名刺作成を始める前に、まず、名刺をどのように作るか、上記で紹介した方法のなかから選びましょう。費用面から自分で作るのか外注するのか選ぶ人が少なくないのですが、実は、何度も印刷するのかという一度きりの印刷なのかという点も、名刺の作成方法を選ぶ際には重要な着眼点です。
使用する印刷会社によっては、文字に変更がなければ印刷枚数に相当する印刷費用のみでOKという企業もあれば、簡単な文字変更までお任せできてリーズナブルな費用を提示してくれる印刷会社もあります。
外注を利用して名刺を作る場合には、最低でも3社から見積もりを取って検討したのちに外注先を決定すると良いでしょう。
次に、作成する名刺に何を載せるのか、情報を整理します。整理する情報は大きく分けて、基礎情報と素材情報の2つがあります。
基本情報は、会社名、部署、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどです。社用の携帯電話がある場合には、名刺を渡した担当者が緊急で連絡を取りやすいよう、名刺に記載することがあります。
素材情報には、会社や商品・サービスに関するキャッチコピー、ロゴ、Webサイトアドレスなどがあげられます。最近では、会社や商品・サービスのSNSアカウントを開設しているケースも増えてきているので、SNSアカウントがある場合には名刺に載せるかどうか検討する必要があるでしょう。
しかし、基本的な名刺サイズを考慮すると、名刺に載せられる情報量は限られています。載せる情報を精査したものの、どうしても載せたい情報が多岐に渡るということであれば、QRコードのような二次元バーコードを活用するという方法があります。
これは、掲載したい情報をWebサイトに一旦集約したうえで、そのWebサイトにアクセスするための二次元バーコードを名刺に載せるというものです。筆者の支援先でも、二次元バーコード付きの名刺を作るケースが最近増えています。
名刺デザインは、名刺を渡した人の第一印象を決定づける重要な要素です。自社のイメージはもちろん、商品・サービスへのイメージとずれてしまうと、結果として名刺を渡した人のなかで悪印象が残りかねません。名刺デザインは慎重に選びましょう。
名刺を通じて堅い真面目なイメージを伝えたいと言うことであれば、シンプルで落ち着いたデザインをおすすめします。また、高い創作性を伝えたいということであれば、インパクトが残るようなデザインがよいでしょう。
また、名刺に使うフォントを個性的なものにするだけでも、名刺を渡された人の印象に残ります。筆者の支援先のなかには、あえて活版印刷による名刺作成を選んだという企業がありました。活版印刷による名刺だという事実が営業のアイスブレイクに使えるうえ、自社のこだわりを認識して貰いやすいということで、営業先での覚えが良いと聞いています。
さらに、自社の姿勢や商品・サービスの特長からSDGsの観点を伝えたいということであれば、名刺に使う紙に注目してみてください。筆者が支援した創業者のなかには、オーガニックバナナの茎の繊維を使用したフェアトレードな紙“バナナペーパー”を使って名刺を作成したという人もいました。
名刺に入れたい要素が決まったら、事前に選んだ名刺作成方法に従って情報を入力していきます。基本的には、各ソフト・各サービスで指定した通りに情報を入力していけば、問題なく印刷できるようになっています。
しかし、自分で名刺を作る場合、特に、Adobe Illustrator(イラストレーター)というソフトを使って名刺を作成する場合は、次のような点に注意が必要です。
一般的な名刺サイズは91×55mmです。印刷会社にデータ入稿する際には、名刺実寸の枠を付けるか、もしくはトリムマークを付けた状態でデータ入稿しなければなりません。万一、紙の端まで塗りの入ったデザインにしたいということであれば、枠からはみ出すように塗りの部分を足すと、断裁したときに一部分が白くなってしまうという事態を避けられます。
名刺に使う文字の大きさとして推奨されているのは、6ポイント以上です。ただし、画数が多い文字の場合には文字が正しく表現できない可能性もありますので、文字の大きさと画数のバランスには注意が必要です。さらに、文字データは必ずアウトライン化しましょう。
もし名刺の文字に薄い色を使いたいということであれば、事前に印刷会社に確認したほうがよいでしょう。印刷会社で使う印刷機の種類によっては、文字に薄い色や淡い色を使用すると網掛け状の色しか出せないことがあるためです。
イラストレーターに配置できる画像形式はeps・psd・jpeg・gifなどがありますが、印刷会社にデータ入稿する際は、原版と画像データをeps形式にし、カラーモードをCMYKにする必要があります。画像の解像度が低いと粗く印刷されるため、データ入稿する前に画像の解像度が350dpi程度あるか確認しましょう。
最後に名刺を印刷します。このとき、特に自社のコピー機・複合機で名刺を印刷する場合は、印刷のズレと紙詰まりに注意が必要です。
実は、自社のコピー機・複合機で名刺を印刷する場合、印刷設定の微調整が必要なことがあります。一度正しく設定できてしまえば問題ないのですが、微調整が済むまでは印刷がずれて名刺の紙に無駄が発生しやすいのです。
さらに、名刺用の紙はコピー機・複合機で普段から使う紙に比べると厚めということもあり、印刷中に紙詰まりを起こしやすくなっています。また、名刺印刷の頻度が高いと給紙ローラーが摩耗し、普通紙印刷ばかりの給紙ローラーと比較すると給紙ローラーの劣化が進みます。給紙ローラーの交換には業者によるメンテナンスが必要なので、必要なときに名刺印刷ができないということになる可能性もあります。
名刺は営業ツールとしても欠かせないものだと説明しました。そのため、筆者の支援先でも凝ったものを作ろうと頑張るケースも少なくありません。しかし、名刺はあくまでも、自社や商品・サービスを伝え、案件獲得するための“手段”です。名刺作成がゴールではないことを認識したうえで名刺を作るよう、心がけてください。
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