目次

  1. 7千社に使われているヒーター
  2. バイト代で家計を支える
  3. 病に倒れた父から感じた覚悟
  4. 入社直後に主要取引先が倒産
  5. どん底のタイミングで社長に
  6. 年間500社の新規顧客を獲得
  7. 「まち探検」で地域と共生
  8. 町工場カフェを福利厚生に
  9. 暑い国でもヒーターを売り込む
  10. 環境を意識した新ブランドも

 スリーハイは男澤さんの父が1986年に創業。現在は従業員45人と、ヒーターの製造・販売を行っています。

 代表的な製品は「シリコンラバーヒーター」です。厚さ1.5ミリのシート状シリコンゴムに発熱線を挟んだヒーターで、200度で連続して長期間使えることから、様々な分野で活躍しています。工場では薬品タンクやドラム缶の保温に、寒冷地ではモノレールのレールや配管の凍結防止に使われています。

 「イメージしやすいのはホテルのビュッフェ台です。料理保温用の銀トレーに敷いて使用します。『カメラレンズの曇り防止用ヒーター』もあります。薄いシリコンゴム製のため、形も大きさも自由自在です」

「カメラレンズの曇り防止用ヒーター」は中央にレンズを入れて使用すると周囲のゴムが発熱し、極寒の山頂でもレンズが曇りません

 製品は1点から注文可能。営業担当が顧客の要望を聞き、職人が手作りで仕上げます。取引先は大手鉄道会社から建設会社、食品メーカーまで様々。その数は国内外7千社まで膨らみました。

 しかし、男澤さんは「僕はものづくりがあまり得意ではないんです。子どもの頃は図工も苦手でした」と笑います。

 理数系が得意だった男澤さんは大学で工学部に進学。先代の父がスリーハイを創業したのもその頃でした。

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