目次

  1. 協賛金を支払ったときに用いる主な勘定科目と仕訳例
    1. 不特定多数の目に触れるときは広告宣伝費
    2. 事業に直接関係ない団体に支払うときは寄附金
    3. 取引先との付き合いで支払うときは交際費
    4. 事業に関連する団体に支払うときは諸会費
  2. 協賛金を受け取ったときに用いる主な勘定科目と仕訳例
    1. 本業ではないときは営業外収益
    2. 本業のときは売上高
  3. 協賛金を仕訳するときのコツ
    1. フローチャートやチェックリストを作る
    2. 会計ソフトの仕訳辞書機能などを活用する
  4. 協賛金の仕訳には注意事項が多い

 協賛金を支払ったときは、広告宣伝費・寄付金・交際費・諸会費のいずれかの勘定科目を用いるのが一般的です。このなかから、協賛金を誰に、どのような名目で支払ったのかに応じて選択します。

 なお、各勘定科目については、それぞれ税務上のルールがあるため、用いるときには注意をしなければいけません。

 そこで、ケースごとに、使用する勘定科目と仕訳例をご紹介し、税務上の取り扱いはどのようになっているのかもご説明します。

 ホームページ、ポスター、会場などに企業名や商品名が掲載されることを目的に協賛金を支払った場合、「協賛金を支払うことで、不特定多数の目に触れて広告効果という反対給付を受けられる」という広告宣伝費の要件を満たしていることから、広告宣伝費として計上できます。

 また、広告宣伝費の要素がある協賛金は、支出をしてからイベントや大会などが終了するまで長期間に渡ることが想定されます。例えばイベントの3カ月前から宣伝が開始し、その期間は協賛サポーターとして掲載される、などです。その場合は、支出総額を期間按分して計上する必要もあります。決算を跨ぐ場合は特に注意をしましょう。

 さらに後日の税務調査に備えて、広告宣伝費であることを証明する書類も保存をしておくと良いでしょう。例えば、協賛金の募集要項をはじめ、協賛者の名称が実際に記載されたパンフレットやポスター、また自社内で広告目的で支出することを明記した稟議書といったものが証明書類になると考えられます。

【税務上の取り扱い】
 広告宣伝費は、所得税法において全額経費(所得税)、法人税法において損金(法人税)として計上できるとされています。また、全額計上できないといった制約なども特にはありません。ただし、広告宣伝費の要件が満たされているかは必ずチェックをしましょう。要件を満たしていない場合は、下記で紹介する交際費や寄附金として処理を改める必要があります。

 一方、消費税に関しては、反対給付がある場合は課税取引となり、ない場合は不課税取引となります。広告宣伝費の場合、反対給付があることから課税仕入とすることができます。

【仕訳例】
 (例)スポーツ大会に対して協賛金を1,100,000円支払った。協賛金を支払うと、大会会場に名前が掲載され、機関紙やテレビCMにも名前を載せることができる

借方 貸方
広告宣伝費 1,000,000円 現金 1,100,000円
仮払消費税 100,000円

 社会福祉団体やNPO法人など、事業に関係ない団体に協賛金を支払った場合は、寄付金という勘定科目を使います。

【税務上の取り扱い】
 寄附金は、法人税法上において、損金の算入に関して細かな規定があります。国、地方公共団体や公益社団法人、公益財団法人、その他公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄附金は全額損金算入になります。一方、認定NPO法人や公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金は、一定限度内で損金になります。また、それ以外の場合は、損金に計上することができません。

 一方、所得税法では、事業に直接関係ないため、経費とはなりません。国、地方公共団体や特定公益増進法人などに支払った寄附金は、所得税の計算をするときに寄附金控除として計算することなります。

 なお、消費税法上では、反対給付を受けずに金銭を支出する場合、不課税になります。

【仕訳例】
 (例)認定NPO法人の活動に賛同し、協賛金を3万円支出した

借方 貸方
寄附金 30,000円 現金 30,000円

 得意先がイベントをやる際に協賛金を求められ、支払ったような場合には交際費という勘定科目を使います。寄附金との違いは、取引に直接関係がある相手先か否かです。

【税務上の取り扱い】
 交際費は、法人税法において、損金に計上できる金額に制限が設けられています。資本金が1億円以下の企業の場合は、年間800万円まで、もしくは飲食費の50%です。

 個人の所得税においては、そのような制限はありませんが、事業のための支出である必要があります。事業に関係ないものを事業経費とすることはできません。

 消費税においても基本的には反対給付がないため、課税仕入とならないことが一般的です。

【仕訳例】
 (例)得意先A社がイベントを開催するにあたって協賛金30,000円の支出を求められ支払った。なお、当該イベントの協賛を行っても名前が掲載されることはない

借方 貸方
交際費 30,000 現金 30,000

 事業に関連する団体への協賛金のうち、広告宣伝費の要件を満たさない(支出によって広告効果という反対給付が得られない)場合は、団体が募集している協賛金の使い道を確認する必要があります。

 例えば、通常の業務運営のために、経常的に要する費用の場合は、諸会費として計上します。一方で、会員相互の懇親のためのパーティに関する協賛金の場合は、諸会費ではなく交際費となります。

 また、業務には直接関係が薄く、社交的な意味合いが強くなるロータリークラブやライオンズクラブの会費も交際費となります。

【税務上の取り扱い】
 諸会費として認定された場合は原則として経費、損金に計上することが可能です。消費税に関しては反対給付がないため、不課税となることが原則です。

【仕訳例】
 (例)自社が加入する業界団体の活動への協賛金10,000円を支出した

借方 貸方
諸会費 10,000円 現金 10,000円

 イベントなどを開催して協賛金を受け取った際は、そのイベント開催などが本業(定款に記載された事業、または付随された事業)なのかによって使用する勘定科目が変わります。

 ほとんどの企業は本業ではないと考えられるため、ここでは本業ではないとき、本業のときの順に、使用する勘定科目と仕訳例、税務上の取り扱いをご紹介します。

 本業以外で受け取った協賛金は、雑収入として計上します。

 雑収入のなかでも金額が多額になるときは、協賛金収入など別の勘定科目を採用しても良いでしょう。ただし、いずれの場合も計上区分としては営業外収益になります。

【税務上の取り扱い】
 雑収入は、法人税法および所得税法において通常通りに益金となり、収入として税金計算を行います。

 また、反対給付をしない(協賛金を支払うことで、不特定多数の目に触れて広告効果を得られるなどがない)場合は、不課税売上になります。これは支払った場合と表裏一体になります。

【仕訳例】
 (例)自社イベントを開催するにあたって取引先から協賛金10,000円を収受した。

借方 貸方
現金 10,000円 雑収入 10,000円

 広告業のように、イベントを実施することが本業の場合、受け取った協賛金は売上高として計上をします。

 協賛金が多額で管理をしたい場合は、売上高の項目において協賛金収入などの勘定科目を作って計上すると良いでしょう。

【税務上の取り扱い】
 売上高は、法人税法・所得税法において、雑収入と扱いは変わりません。消費税も雑収入と変わりませんが、反対給付があれば課税売上になります。

【仕訳例】
 (例)自社で開催するイベントにて協賛金を募集して消費税込み110,000円を収受した。協賛を受けた企業の名前はイベント会場に掲載し、機関紙などにも掲載される

借方 貸方
現金 110,000円 売上高 100,000円
仮受消費税 10,000円

 最後に、協賛金を間違いなく計上するためのコツを2つご紹介します。

 協賛金はこれまで書いたとおり、たくさんの判断事項があります。判断を属人的にすると同じ取引でも使用する勘定科目や消費税の課税区分が異なり、会計上も税務上も間違えるリスクが一気に高まります。

 こういった判断を均質的に実施するためには、フローチャートやチェックリストを作成して、取引が発生した都度、判断の過程を明らかにすることが望ましいです。事例集を作成するというのも良いでしょう。

 市販されている一般的な会計ソフトには、ほとんどの場合、定型的な仕訳に勘定科目と消費税コードを設定する仕訳辞書機能があります。仕訳辞書機能で協賛金のさまざまなパターンごとに仕訳の形を作っておき、そのうえでフローチャートやチェックリストで判断した結果、仕訳辞書で設定したどの仕訳を使用するかを決めておくと、勘定科目や消費税コードのミスがさらに減るでしょう。

 協賛金の仕訳では判断する事項が多く、勘定科目によっては損金算入が制限されたり、仕入税額控除ができなかったりするなどもあり、税務上でも論点が多い項目になります。

 最後に、あらためて協賛金に用いる勘定科目と注意事項をまとめます。

協賛金に用いる勘定科目まとめ
協賛金に用いる勘定科目まとめ(デザイン:吉田咲雪)

 また、社内で別の人が処理を行う際にも、結論が変わらないような体制作りをしたほうが良いでしょう。