目次

  1. 会社の忘年会・新年会の意向調査 4611社から有効回答
  2. 忘年会・新年会、中小企業でも60.9%が「開催しない」
  3. 今後の大人数の会食の自粛の可能性は 政府がコロナ対応策
  4. そもそも忘年会とは 「明治時代に登場した新語」とも

 東京商工リサーチは2022年10月、今シーズンの忘・新年会の意向について、インターネットでアンケート調査を実施し、4611社(大企業576社、中小企業4035社)から有効回答を得て、分析しました。昨シーズンの調査では、8174社から有効回答を得られており、一定の誤差には留意が必要です。

 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に関係なく忘年会、新年会を「開催しない」と回答した企業は61.4%(2831社)に上りました。昨シーズンより9.0ポイント下がりました。

2022 年「忘・新年会に関するアンケート」調査(東京商工リサーチの調査レポートから引用)

 中小企業の回答結果に絞って見ると、中小企業は60.9%(2460社)が「開催しない」と回答。「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」でなければ開催すると答えたのは、25.45%(1027社)にとどまりました。昨シーズンの調査では、29.5%(2049社)でした。

 一方、年末から年始に「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」のいずれかが発令されても「開催する」と回答したのは、中小企業は 5.7%(230 社)にとどまっています。

 東京商工リサーチは次のような見解を示しています。

 「10月26日から東京都は『Go To Eat キャンペーン Tokyo 食事券』の販売を再開するなど、感染防止と経済活動の両立に向けた取り組みが広がっている。ただ、会社の行事として定番だった忘年会は、コロナ禍で定着した感染予防と若者の忘年会離れもあり、復活には時間がかかりそうだ」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は11月11日、秋以降の感染拡大で保健医療への負荷が高まった場合の対応として「対策強化宣言」を出せるようにする方針を示しました。内閣官房の公式サイトで資料が公表されています。

 分科会資料によると、外来医療の負荷が高まり、発熱外来や救急外来に多くの患者が殺到し、重症化リスクの高い人がすぐに受診できない「医療負荷増大期(レベル3)」になると、職場で欠勤者が多数出て業務継続が困難になる事業者も増えると想定しています。

新型コロナウイルス対策分科会による新たなレベル分類(朝日新聞デジタルから引用)

 そんな感染拡大が著しい都道府県は「対策強化宣言 」を出せるようにし、次の対応が取れるようにするといいます。

  • 普段と異なる症状がある場合には、外出、出勤、登校・登園等を控えるよう情報発信を強化する
  • 混雑した場所や感染リスクの高い場所への外出など、感染拡大につながる行動を控える。外出・移動は必要不可欠なものに限り、出勤大幅抑制、帰省・旅行の自粛も要請する
  • 大人数の会食について飲食店や施設の時短・休業は要請せず、外出自粛要請に関する理解を求める。大規模イベントの延期等の慎重な対応も要請する
  • 原則として、学校の授業は継続するが、学校・部活動、習い事・学習塾、友人との集まり等での感染に気をつけるよう呼びかけ、部活動の大会や学校行事等には開催方式の変更等を含め慎重な対応を要請する

 そもそも忘年会とは、年末に開かれる宴会のことを指しますが、国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築する調べ物のための検索サービス「レファレンス協同データベース」には、文献をもとに忘年会の語源を調べた事例が紹介されています。

 調査結果によると、「日本民俗大辞典」には「近世の武家社会や町人社会に定着していた御用納めのあとの小宴会がその日にかぎらず単独の行事と化した、ということはいえるであろう。そのきざしは、すでに明治期の役所で生じたが、まだ忘年会とはいわず納会といわれた」と書かれていることが紹介されています。

 「暮らしことばの辞典」にも「明治時代に登場した新語で、文明開化の風潮とともに広がり、今では年末を締めくくる好個の行事名となっている」と紹介されているといいます。

 ただし、日本国語大辞典によると、江戸時代(1772年)の「随筆・古今物忘れ」(1772)に「うき一年を忘れはべらばやとてぞ、忘年会はすなりといふ。」 という一文があるとも紹介しています。